日本の外交手腕(2)-外務省『小林祐武』の告白(8)-駐英国日本大使館コレクション盗難事件
- 2023/06/03
- 05:05
元外務省職員『林貞行』が、
駐英国日本大使に就任しました。
そして、
2000年、
駐英国日本大使館コレクション盗難事件が、
起きました。
イギリスの外交官
『サー・アーサー・ヘンリー・ヒュー・コータッツィ』は、
1980年から1984年まで、
駐日本国英国大使を務めた事もあり、
親日家だったので、
イギリスの日本研究者らで組織され、
『林貞行』駐英国日本大使が、名誉総裁を務める、
「日本協会」に、貴重な古書、古地図を寄付しました。
そして、
駐英国日本大使館の倉庫に、収容されました。
ちなみに、駐英国日本大使館の倉庫には、
1991年より、「日本協会」の貴重なコレクションが、
管理されていました。
そして、2000年、
『サー・アーサー・ヘンリー・ヒュー・コータッツィ』が、
大英博物館近くの古書店で、
自分が寄贈した2冊の本が、売られているのを、
発見しました。
そのため、ロンドン警察に通報しました。
捜査が進むと、
駐英国日本大使館の倉庫に、「日本協会」から、
蔵書整理要員として派遣されてきたイギリス人男性が、
『林貞行』が、駐英国日本大使になった
1997年から2000年までの3年に渡って、
約150点を盗んでいました。
イギリス人男性は、
犯行を隠蔽するため、盗品を除外して、
蔵書目録を、作成していたそうです。
そして、イギリス人男性は、盗品を、
国内外の古書店やクリスティーズのオークションなどに、
流通させていた事が、分かりました。
そして、盗品の中には、
ロンドン日本協会が設立以来、
百年以上に渡って集めた貴重な本、
例えば、
江戸時代中期に来日した、
ドイツ人博物学者『エンゲルベルト・ケンペル』著
「日本誌」英訳初版本(1727年、市場価格約3百万円)、
オランダ宣教師『アルノルドゥス・モンタヌス』著
「東印度会社遣日使節紀行」(1669年、市場価格約2百万円)など、
入手不可能な文献や、
日本の皇室が駐日英国大使に贈った美術品など
研究者にすら、原則非公開とされていた貴重な本もあり、
被害総額は、数千万円以上と推測されていますが、
目録の原本が無く、
改ざんされていたので、詳細は、不明だそうです。
ちなみに、
駐英国日本大使館は、捜査が始まるまで、
盗難に全く気付いていなかったそうです。
そのため、マスコミなどから、
駐英国日本大使館の杜撰な管理ぶりが指摘されましたが、
駐英国日本大使館は、
「日本協会」が派遣した人物なので、
駐英国日本大使館の直接の監督権が、
なかったことを強調していました。
しかし、駐英国日本大使館は、
書庫への出入りを、1回ごとに、
確認と認可を、していたそうです。
ちなみに、「日本協会」の名誉総裁は、
駐英国日本大使『林貞行』です。
そして、
外務省は、世論がうるさいので、
2001年、『林貞行』を、更迭しました。
ちなみに、
2010年に、『林貞行』は、
外務省を、
9000万円以上という破格の退職金をもらい、
退職したそうです。
そして、公務員なら、
一般的な天下りの再就職コースですが、
2010年、『林貞行』は、
退職したばかりの外務省の顧問になり、
東京電力監査役となりましたが、
福島第一原子力発電所事故を受け、
2012年、株主総会で退任したそうです。
そして、『林貞行』は、
2014年、瑞宝大綬章を受章したそうです。(続く)
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