狂犬病(20)-潜伏期間
- 2022/11/05
- 05:05
ギネス世界記録に記録されている、
狂犬病ウイルスは、
傷口から、神経細胞に入り、
逆行性軸索輸送と言って、
通常の神経伝達とは逆の流れで、
末端神経から、脳に向かっていくそうです。
そのため、脳から近い所を咬まれたら、
短期間で、脳炎の症状が出ますが、
脳から遠い所を咬まれたら、
脳炎の症状が出るまで、
15日から、1年以内とばらつきがありますが、
60%は、1-3か月以内に症状が出るそうです。
しかし、長いと数年以上かかることもあるそうです。
1984年、7月1日、
アメリカのテキサス州で、12歳のラオス難民の少女が、
頭痛のため、病院に行きました。
通院で治療をしていると、
7月15日、発熱、嚥下困難、麻痺を起こしたので、
市立病院に入院する事になりました。
発熱もあったので、敗血症と診断され、
抗生剤等の治療をしましたが、
改善が見られず、心拍も血圧も安定しなかったので、
大学病院に転院し、ギランバレー症候群と診断され、
治療する事になりました。
意識はありましたが、唾液が多量に出るので、
詰まると困るので、気管挿管したそうです。
その後、自力呼吸が出来なくなり、
意識混濁となり、
7月24日には、瞳孔散大となったので、
感染性脳炎が疑われ、
詳しい脳の生検などがの検査が行われた結果、
狂犬病と診断されました。
そして、治療の甲斐なく、8月27日死亡しました。
その後の調査により、
12歳のラオス難民の少女は、
狂犬病疑いのある動物との接触はなく、
1980年に、
アメリカのテキサス州に来てからは、
旅行したことが無く、
また、
動物との接触はなかったことが、分かりました。
そして、
12歳のラオス難民の少女から、
検出された狂犬病ウイルスは、
テキサス州で見つかるウイルス株とは、違い、
ラオスで見つかるウイルス株と、同じでした。
そして、12歳のラオス難民の少女は、
1977年、ラオスで犬に咬まれていることが、
分かりました。
このことから、狂犬病の発症するのに、
約7年かかったことが、分かりました。
そして、
12歳のラオス難民の少女と接触した、
医療職員123人と家族や友人19人が、
予防処置を受けたそうです。(続く)
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