感染予防(2)-ルイ・パスツール(7)-狂犬病(3)
- 2022/07/01
- 05:05
脳炎を発症し、幻覚が見えたり、
水、風、光、音などの刺激に、ものすごく過剰に反応し、
筋肉が激しく痙攣し、
水を見るだけで、怖がり、
最終的には、呼吸麻痺になり、死亡します
50年頃のローマの
医学者『アウルス・コルネリウス・ケルスス』が、
狂犬病を発症すると、水を飲むと強い痙攣が起きて、
水を飲めなくなり、水を飲むことを恐れたので、
「恐水病」と名付けました。
ちなみに、
自分が、アメリカに行った時、
水を怖がる狂犬病の犬を見分けるため、
犬の繁殖場は、
湖など、多くの水がある場所にある事が、
多いと聞きました。
1799年、イタリアの医師『Eusebio Giacinto Valli』は、
狂犬病の犬の唾液を、カエルの胃液に注入し、
その液を、他の犬の唾液と混ぜた混合物を作製し、
狂犬病の疑いのある犬に咬まれた、
『Rosermini』と言う女性とその侍女と将校の妻に、
この混合物を接種し、
狂犬病を予防したと報告しましたが、
症例数が少ない事とデーターに不備があったので、
医学界では、認められませんでした。
その後、
『Eusebio Giacinto Valli』は、黄熱病を研究していました。
そして、1816年、
黄熱病の弱毒化ワクチンが完成したのですが、
被験者がいなかったので、
自分に接種しましたが、
その数日後、死亡したそうです。
50年頃のローマの医学者『アウルス・コルネリウス・ケルスス』は、
狂犬病の治療方法を、咬傷部を焼くと書いています。
ちなみに、
乳癌が、蟹の脚ににていたことから、
『ヒポクラテス』が、古代ギリシャ語でκαρκίνος(カニ)と名付けました、
そして、『アウルス・コルネリウス・ケルスス』は、
それをカニを意味するラテン語のcancerと翻訳しました。
そして、現在では、癌の事を、cancerと言います。
90年頃のローマの医師『ペダニウス・ディオスコリデス』も、
狂犬病の治療方法を、咬傷部を焼くと書いています。
その後、狂犬病治療は、
咬まれた所を焼く方法が行われていました。
狂犬病は、中世までは、散発的でしたが、
1271年、
ドイツのフランコニアで、
狂犬病のオオカミが村落を襲い、
30人以上の住人が咬まれ、
狂犬病で死亡したという記録がありますが、
13世紀以後のヨーロッパでは、
狂犬病の発生が、増えたそうです。
1765年に起きた、ジェヴォーダンの獣も、
狂犬病に感染したオオカミだったかもしれません。
この話は後日詳しく…。
1831年、狂犬病に感染したオオカミが、
東フランスのジュラ地方ドールで、人々を襲い、
8人が死亡しました。
咬まれた人への手当は、
焼けたアイロンによる焼灼でした。
当時、その近所に住んでいた、
皮なめし業者の息子『ルイ・パスツール』(8歳)は、
その人々の悲鳴を聞いて、震えていました。
そして、
幼かった『ルイ・パスツール』は、
いつか、狂犬病の対策をしたいと、考えるようになりました。(続く)
- 関連記事
-
- 感染予防(2)-狂犬病(1)-歴史
- 感染予防(2)-狂犬病(2)-名前の由来
- 感染予防(2)-ルイ・パスツール(7)-狂犬病(3)
- 感染予防(2)-狂犬病(4)-狂犬病爆弾-吸血鬼伝説
- 感染予防(2)-狂犬病(5)-ルイ・パスツール(8)-獣医師『Pierre Victor Galtier』の活躍
- 感染予防(2)-狂犬病(6)-ルイ・パスツール(9)-動物実験取扱注意
- 感染予防(2)-狂犬病(7)-ルイ・パスツール(10)-『Girard』に、初の狂犬病接種!ただし、承認前、厳重注意
- 感染予防(2)-狂犬病(8)-ルイ・パスツール(11)-狂犬病予防注射大成功!『Joseph Meister』
- 感染予防(2)-狂犬病(9)-ルイ・パスツール(12)-狂犬病予防注射成功の陰で…、獣医師『Pierre Victor Galtier』