感染予防(2)-ルイ・パスツール(4)-家禽コレラ
- 2022/06/06
- 05:05
大量のニワトリが死亡し、困っていました。
生化学者・細菌学者『ルイ・パスツール』は、
微生物学者『Charles Chamberland』と、
生化学者・細菌学者『ルイ・パスツール』は、
医師では、なかったので、
解剖や病人の診察などをした事がなく、
医学の知識も乏しかったので、
若き医師『Pierre Paul Émile Roux』を迎えて、
家禽コレラの研究を、開始しました。
ちなみに、
微生物学者『Charles Chamberland』は、
1884年に、細菌をろ過する、
シャンベラン型濾過器を発明し、
1879年に、手術道具の滅菌装置の、
オートクレーブの発明プロジェクトを、
立ち上げたそうです。
ちなみに、
動物病院では、オートクレーブは、必需品です。
ちなみに、
自分が大森山動物園に勤務した当初は、
オートクレーブがなかったので、
手術器具は、煮沸消毒し、
器具置き場は、メタノールで、
火を付けて、消毒していました。
でも、1人でするのは、
手間がかかり、非効率的だったので、
後日、オートクレーブを入手しました。
ちなみに、
現在、大森山動物園の現場獣医師は、4人体制です。
医師『Pierre Paul Émile Roux』は、
後日、パスツール研究所の2代目所長となり、
免疫学の分野の創始者と呼ばれる、
偉大な学者となります。
そして、
1878年、『ルイ・パスツール』は、
家禽コレラを引き起こす細菌の培養に成功し、
『ルイ・パスツール』の名前から、
Pasteurella multocida と命名しました。
1879年、『ルイ・パスツール』の研究室は、
家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)を、
フラスコで、大量に培養していましたが、
乱雑になっていました。
そのため、『ルイ・パスツール』は、
整理整頓することにしました。
通常は、密封して培養していたのですが、
1ヶ月以上、封が外れて、密封されずに、培養されていた、
家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)がありました。
『ルイ・パスツール』は、
「試しに、密封されていなかった家禽コレラ菌を、
ニワトリに注射してみよう!」思い付きました。
そして、注射の初日、ニワトリは、元気がなくなりました。
しかし、
翌日、ニワトリは元気が回復し、普段通りに戻りました。
念のため、もう一度試してみても、同じ結果になりました。
助手たちは、
死んでしまった家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)を使ったから、
発症しなかったんだろうと軽くと考えていました。
しかし、『ルイ・パスツール』は、
もしかすると、大発見かも?と考え、
注射後、元気を回復したニワトリに、
新鮮な毒性の高い家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)を、
注射しました。
すると、
ニワトリは、家禽コレラを発症する事ともなく、元気でした。
ニワトリは、弱った家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)の注射によって、
免疫を獲得していたのでした。
その後、家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)は、
密閉せず、空気にさらしながら培養すると、
弱毒化する事が分かり、
弱毒化した家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)を使って、
家禽コレラのワクチンが、完成しました。
世界初のワクチンは、
1796年の『エドワード・ジェンナー』の種痘ですが、
牛痘にかかった人が、
2度と天然痘にかからないという経験的事実から、
自然界に存在していたウイルスを使用しました。
『ルイ・パスツール』が、
1879年に開発した家禽コレラのワクチンは、
人工的に作られた世界最初のワクチンです。
ちなみに、現在の日本では、家禽コレラは、
法定伝染病に指定されているので、
ワクチンは使用されず、
ニワトリは、家禽コレラと診断されると、
治療を行わず、殺処分されます。
ちなみに、
家禽コレラ菌(Pasteurella multocida)は、
酸素があっても、なくても生きる事が出来る、
通性嫌気性生物です。(続く)
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