感染予防(2)-自然発生説(1)
- 2022/05/05
- 05:05
哲学者『アリストテレス』が説いた、
「昆虫やダニなどの微小な生物は、
無生物を生物にする「生命の素」が、
含まれている泥などの無生物から、自然に発生する。」という、
「自然発生説」が、長い間信じられてきました。
17世紀当時、
汗まみれの布で小麦を巻き、それを壺に入れると、
21日以内には、それがハツカネズミへと生まれ変わる、
腐った肉がウジ虫を発生させるなど、
生命を作るレシピが、本当に信じられていました。
しかし、1668年、
イタリアの内科医、生物学者で、
詩人の『フランチェスコ・レディ』は、
自然発生説の考えを否定し、
ウジ虫は、ハエから生まれるものだと証明しようとして、
6つのビンを用意しました。
そして、それを3つずつ、2グループに分け、
ビンの中に、
魚の死骸、牛肉、何も入れないのを準備しました。
そして、1つ目のグループには、
ビンの口を、目の細かいガーゼで覆い、
空気しか出入りしないようにし、
2つ目のグループには、ビンの口に、
何もつけず放置しました。
すると、
ハエが、自由に出入り出来た、
ビンの口に何もつけなかった、
魚の死骸、牛肉には、ウジ虫が発生しましたが、
ハエが、自由に出入り出来なかった、
ビンの口に目の細かいガーゼで覆ったビンには、
ウジ虫が発生しませんでした。
さらに死んだ蛆やハエを、
肉や魚の死骸と一緒に、
ガーゼで覆ったビンに入れましたが、
ウジ虫は、発生しませんでした。
しかし、人々は、この実験は、
単に、ウジ虫は、腐った肉から発生するものではない事が、
証明されただけで、
自然発生説を、否定するものでは、ないと考えました。
しかし、
『フランチェスコ・レディ』の、
異なる条件を複数用意するという実験方法は、
現在では、対照実験と呼ばれ、
実証科学の端緒となる画期的なものでした。
そして、1745年、
イギリスの生物学者で、
カトリックの司祭の『ジョン・ニーダム』は、
肉汁をガラス瓶にいれてコルクで栓をした後、加熱し、
冷ました後、数日たってから、
観察すると、多くの微生物が発生していたので、
ことから微生物が自然発生したと主張しました。
そして、イタリアの博物学者で、
「実験動物学の祖」と呼ばれることになる
『ラザロ・スパランツァーニ』は、
『ジョン・ニーダム』の実験結果に疑問を持ち、
1765年、ガラス瓶に肉汁を、長い時間をかけて加熱処理し、
コルクを使わず
ガラス瓶の口を開放にしたままのものと、
ガラス瓶の口を溶かして、密封したものの、2つを用意し、
観察した結果、実験を行い、
密封した方には、微生物が、自然発生しないことを確かめました。
しかし、『ラザロ・スパランツァーニ』ら「自然発生説」派の人々は、
「密封したことにより、
新鮮な空気との接触ができなくなったから、
生命の発生を、失敗しただけで、
生命が発生するには、新鮮な空気が必要だ!」と反発しました。(続く)
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