ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(11)
- 2021/10/01
- 05:05
外科医の仕事で順調に稼げるようになったので、
ロンドンのアールズ・コートに、別荘を購入し、
休日の日曜日には、
アールズコートの別荘へ行き、
自然や動物とたわむれ、
息抜きをするという日々を過ごしていました。
そして、
犬や豚牛などの家畜からシマウマやライオン、
ヒョウ、キリンなどを飼育し、近所の子供達を喜ばせました。
しかし、牛とレスリングをして殺されそうになったり、
ヒョウが鎖を切って逃げ出した時には、
首をわしづかみにして捕獲するなど、
危険な事もあったそうです。
『ジョン・ハンター』のアールズ・コートに家が、
「ドリトル先生」のモデル一部とも言われています。
そして、『ジョン・ハンター』は、
標本の収集に、取り憑かれ、
コレクションのためなら、
非合法な方法でも構わず、
人間だけではなく、様々な動物も収集して、
解剖して、臓器や骨格を、標本を作製し続け、
世界中から1万4千点もの標本を、集めたそうです。
標本集めに協力していた
動物商(鳥獣売買業者)の『ゴフ』が、
診察に来た時は、
『ジョン・ハンター』は、
「様々な動物を持って来てくれる君は、
私にとって必要で、
1時間も無駄に出来ない人間だ。
待合室にいる金持ち連中は、
どうせ家に帰ったってやることはないんだから、
待たせておきゃいいんだ。」と言って、
優先的に、診察室に通されたそうです。
1785年、膝窩動脈瘤を患った馬車の御者が、
『ジョン・ハンター』の所に、来ました。
膝窩動脈瘤は、
患部が破れると死亡する危険な病気で、
当時の一般的な治療は足の切断でしたが、
『ジョン・ハンター』は、
「足を切断せずに済む方法があるが、
試してみるか?」と、馬車の御者に、聞きました。
手術代が高いと考え、
馬車の御者は、断りましたが、
『ジョン・ハンター』は、「手術料は、無料でいいよ。
その代わりに、君が死んだ後で良いので、
欲しいものがあるんだ。」と言いました。
『ジョン・ハンター』は、
沢山行った解剖や実験により、
膝周辺の血管を知り尽くしていたし、
動脈瘤に繋がる血管を、結紮する事で、
血液を他の血管に迂回させ、
問題となる部分への、血液を最小限にすれば、
動脈瘤は、自然に消滅する事を、
色々な動物を使った実験で、知っていました。
ちなみに、
自分も動物園勤務の時、
ペンギンが、マラリア等で死亡した時、
死因の特定をするための病理解剖をしましたが、
同時に、死因以外の解剖学的所見を得るため、血管の走行を調べたので、
採血が難しいペンギンの採血が、出来る様になりました。
そして、
人類史上、初の動脈瘤バイパス手術が、始まりました。
膨らんだ動脈瘤の上の部分を切り取り、
血管を糸で結紮し、その数cm上をより弱い力で結紮し、
再びその上を、さら弱く結紮し、
さらに上を徐々に弱い力で、何か所も、結紮したそうです。
『ジョン・ハンター』が活躍していた当時、麻酔が無かったので、
患者が耐えれるように、
手術は短時間で済ます必要がありました。
そのため、『ジョン・ハンター』は、
手術を、約5分で終わらしたそうです。
そして、手術は成功し、
馬車の御者は、仕事に復帰する事が、出来たそうです。
そして、馬車の御者が、別の原因で死亡した後、
手術前に約束していた通り、
足の血管は標本にされ、

現在も、グラスゴー大学のハンタリアン博物館に展示されています。(続く)
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