ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(6)-歯磨きの歴史
- 2021/09/01
- 05:05
外科医の仕事が無かったので、
歯科医『ジェームズ・スペンス』と協同で、
歯の治療と研究に従事したそうです。
ちなみに、
当時の歯科医は、
医者の階級としては、最下層でしたが、
安定収入を得る事が出来ました。
当時の歯の治療は、抜歯のみでしたが、
『ジョン・ハンター』は、歯の移植を思いつき、
鶏の頭に、人の歯の移植実験を、行いました。

鶏の頭に、歯を移植した標本
そして、ある程度の成果を得たので、『ジョン・ハンター』は、
「貴方の歯を買います。」と玄関に張り紙をしました。
すると、
貧しい子供たちが、大勢来たそうです。
そして、抜歯した新鮮な歯を、貴族に移植したそうです。
移植した歯は、3年以上もったそうです。
『ジョン・ハンター』は、歯垢の有害性に気付いて、
歯磨きを励行したり、果物、野菜を食べる効用を説いたり、
それぞれの歯に、名前を付けたそうです。
ちなみに、
口腔清掃の起源は、医学的見地からではなく、
信仰とともに起こったと言われています。
古代の人々は、
神に祈る前の身を清める作法の一つとして、
口を、水で、ゆすいでいました。
世界最古の記録では、
BC1500年頃の古代エジプトで、
チュ-スティック(木)に、練り歯磨や粉歯磨をつけて、
磨いていたと、
パピルスに書いてあります。
それによると、歯磨きには、
ビンロウ樹の実(タンニン)に、
研磨剤、粘結剤として、緑粘土を使用し、
粘結剤、甘味料として、蜂蜜を使用し、
研磨剤として、火打ち石(石英の一種)
殺菌効果として、緑錆を、煉り合せたそうです。
ちなみに、
緑粘土は、ナイル川の土で、この土を髪の毛につけ、
棒に髪の毛を巻き付けてカールさせたと言われています。
紀元前350年頃に、ギリシャの哲学者『アリストテレス』は、
口腔清掃の習慣について、記載しています。
当時の歯磨き粉は、
動物の骨を焼いた骨灰や
卵の殻を焼いた灰で、つくったそうです。
ちなみに、18世紀まで、
むし歯の原因は、「歯を喰う虫」と考えられていて、
むし歯の原因は「歯を喰う虫」であることから、
朝夕に採った少女や、処女の尿を混ぜたそうです。
この治療法は、
有名な歯医者達も、効果があると思い、
18世紀まで続いたそうです。
20世紀になってやっと、
細菌による酸産生が原因であることが分かりました。
その昔、
『釈迦(ゴータマ・シッダッタ)
(ガウタマ・シッダールタ)』の周囲には、
多くの弟子が集まったそうです。
そして、『釈迦』は、口臭を不快に思ったのか、
『釈迦』の言葉をまとめた仏典「律蔵」には、
「歯の手入れをすると、
口臭がなくなる、食べ物の味がよくなる、
口の中の熱をとる、痰をとる、眼がよくなる。」と言って、
小枝を嚙んで 、弟子たちに手本を示 し、
歯ブラシの「歯木(ダンタカーシュタ)」を、広めたそうです。
ちなみに、サンスクリット語で、「ダンタ」は、歯、
「カーシュタ」は、木を意味するそうです。
「歯木」は、薬木「ニーム(インドセンダン)」という木の枝を、
歯で咬んで柔らかくして、その部分で歯を磨くそうです。
薬木「ニーム(インドセンダン)」は、
アザディラクチンと呼ばれる、
人や農作物には害がなく、
害虫に効果があるといわれ、
インドでは古代より、
虫下しや胃薬、歯磨き、虫除けなど、
民間の治療薬として広く使われいるそうです。
薬木「ニーム(インドセンダン)」は、
むし歯や歯周病の予防効果があるそうです。
ちなみに、自分がインドを放浪していた時、
ガンジス川のそばで、
現地のインド人が木を、かじっていたので、
何をしているのかを聞いた所、
歯磨きをしていると言っていたので、
その木を借りて、
その木が、何となく汚れている感じがしましたが、
かじられていない部分を、思いっ切って、かじると、
何となく、いい香りがしました。
そして、お腹も壊しませんでした。
ちなみに、
以前、エジプトに行った時、瓶コーラを購入して、
栓を開けて飲もうとした時、
瓶の下に虫が浮いていて、その部分が透明でした。
危ないと思いましたが、喉が渇いていたので、
上澄みを飲みました。
その時も、お腹を壊しませんでした。
ちなみに、イスラム教の創始者
『ムハンマド・イブン=アブドゥッラーフ・イブン
=アブドゥルムッタリブ(マホメット)』も、
「歯木」で磨くことを広めました。
中国では、インドから仏教伝来以来、
柳の楊枝を使って磨いていました。
唐の時代には、楊枝や指で歯を磨き、
歯磨剤として「塩」を使う風習があったそうです。
ヨーロッパでは、布や海綿で拭いたり、
木片や金属の鋭利な尖端で、
歯と歯の間の掃除をしてたそうです。
15世紀頃、
フランスでは、蜂蜜と焼塩と酢を混合した歯磨剤や、
野生のハッカや胡椒やニッキ(桂皮)を含んだ、
白ワインや尿で、うがいし、
その後、蜂蜜と砂糖の混合物や、
野ウサギの頭蓋骨骨灰と焼き塩を、
蜂蜜で糊剤にしたもので磨いたそうです。
16世紀にはタバコの灰を、
歯磨き粉にする事もあったそうです。
日本では仏教伝来と共に、
僧侶、公家などの上流階級が、
身を清める儀式として、
歯木や楊枝で歯面を擦り始めました。
平安時代には、一般人も歯磨きを、始めたそうです。
江戸時代になると、歯木は、房楊枝となりました。
房楊枝では、ブラシ状になっている部分で歯を磨き、
反対側の尖っている部分で、
歯と歯の間の汚れを取り除くそうです。
さらに柄のカーブした部分で舌をこすり、
舌の掃除もしていたそうです。
そして、『ジョン・ハンター』は、歯科医『ジェームズ・スペンス』と協同して、
1771年、1778年の2回に分けて、
「ヒト歯の博物学および歯疾患の報告」という論文を発表しました。
これは歯科における初の科学文献で、
歯とあごに関する解剖学と病理学が解説されていて、
名を上げました。(続く)
- 関連記事
-
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(1)
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(2)-医学のための殺人(1)-殺人ビジネス(1)
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(4)-チチカライ
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(5)
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(6)-歯磨きの歴史
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(7)-偉大な音楽家と医者
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(8)
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(9)-世界初の人工授精と心臓のカウンターショック
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(10)-Greater siren
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(11)
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(12)-コレクション魂巨人症チャールズ・バーン-自分の骨格標本作製方法
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(13)
- ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(14)-義弟の裏切り