殺人ビジネス(3)-殺人株式会社
- 2021/07/21
- 05:05
殺人のプロ集団「マーダー・インク (殺人株式会社)
(ブラウンズヴィル・ボーイズ)」という、
犯罪組織があったそうです。
ちなみに、「マーダー・インク (殺人株式会社)
(ブラウンズヴィル・ボーイズ)」という名前は、
マスコミが、命名したそうです。
1930年、イタリア系マフィアの最高幹部
『チャールズ・ルチアーノ(ラッキー・ルチアーノ)
(サルヴァトーレ・ルカーニア)』が、
「縄張り争いは、各々のビジネスを損なう。」と言って、
腹心『ルイス・レプケ(ルイス・バカルター)』を、社長に任命し、
『チャールズ・ルチアーノ』と親交のある
イタリア系マフィアのボス
『アルバート・アナスタシア(ウンベルト・アナスタージオ )』を、
副社長に任命し、
暗殺を、ビジネスにするための、
プロの殺し屋から構成される
暗殺集団「マーダー・インク (殺人株式会社)
(ブラウンズヴィル・ボーイズ)」を、創設したそうです。
ちなみに、
『チャールズ・ルチアーノ』は、
若くて下っ端だった時、敵対組織から、
誘拐され、拷問を受け、
路上で意識不明で、倒れていたそうです。
すぐに病院に運ばれ、緊急手術を受け
約55針縫う様な大怪我から、後遺症は残りましたが、
奇跡的に助かった事から、
『ラッキー・ルチアーノ』と、
呼ばれるようになったそうです。
ちなみに、マフィアへの入会の儀式は、
最初、3人のマフィア構成員から、
入会の意思確認が行われ、
それに同意すると、
銃を持つ手の指にピンを刺し、
聖母マリアが描かれた紙に、血を付けて、
その紙を両手で包むように持ち、
その紙に火がつけられ、
「私が誓いを破ることがあれば、
聖人の貴方のように、
我が身も燃え尽きる。」と誓いを立てて、
初めて入会できるそうです。
「マーダー・インクの本部は、
24時間営業の菓子屋「Midnight Rose's」だったそうです。
ちなみに、暗殺は、
恋愛や復讐など個人的な理由ではなく、
反逆者の粛清や政府密告者の口封じが目的で、
「暗殺は、ビジネスと割り切る。」、
「決して民間人を、巻き込まない。」などのルールがあったそうです。
社員は、ユダヤ系、イタリア系ギャングが、中心だったそうです。
給料制で、技能や経験に応じて、
週給50-250ドルが、支給されたそうです。
そして、数百人のギャングやマフィア幹部らが、
殺害が実行されたそうです。
その手口は、銃撃や絞殺、溺殺、刺殺などで、
出所が不明となるように、
アイスピックやロープが好まれたそうです。
暗殺が決まると、関与者全員のアリバイを用意し、
盗んだ車に、別の盗んだナンバーを付けた車を準備し、
死体の運搬ルートについても、バレないルートを検討され、
捕まった場合の裁判に備えて弁護士を常備し、
もし、社員が捕まった場合は、その家族の面倒をみたそうです。
暗殺の手口は、巧妙で組織的だったので、
犠牲者の多くは、事故死、病死として処理されたそうです。
しかし、
1940年2月、「マーダー・インク」の中堅社員の
『 エイブラハム・レルズ(キッド・トゥイスト)
エイブ・レルズ)』が、
麻薬取締法違反、住居侵入、暴行、強盗、
殺人の容疑で逮捕されました。
ちなみに、
異名の「キッド・トゥイスト」は、
「マーダー・インク」の本部の菓子屋「Midnight Rose's」にあった、
キャンディを、好んで食べたからと、言われています。
『エイブラハム・レルズ』は、
殺人の罪で死刑になる事を恐れ、
「俺はカナリアだ。歌はうまいぜ。」と言って、
供述と引き換えに、減刑される司法取引を、
特別検察官『バートン・タークス』に、持ちかけました。
『エイブラハム・レルズ』は、ものすごく凶暴で、
自分が犯した11件の殺害を芸術的だと自慢し、
とられた供述調書は、25冊にもわたる長編でした。
そして、「マーダー・インク」の全貌が明らかになり、
『エイブラハム・レルズ』の同僚の殺し屋の多くが逮捕され、
死刑や終身刑になりました。
その後、
『エイブラハム・レルズ』は、
「マーダー・インク」の副社長『アルバート・アナスタシア』の
殺人行為を証言する予定で、
コニーアイランドのハーフ・ムーン・ホテルに、
警察の24時間護衛付きで、15分間隔で部屋をチェックし、
厳重に身辺保護を受けていました。
しかし、
1941年11月12日、
ホテルの6階から転落死したので、
「マーダー・インク」の副社長『アルバート・アナスタシア』の、
訴追がなくなりました。
公式発表では、
『エイブラハム・レルズ』が、
隙を見て逃亡を企て、窓の外から5階に降りようとして、
足を踏み外した事故だったとなりました。
しかし、
『エイブラハム・レルズ』の転落死の真相は、
『ラッキー・ルチアーノ』が、
「マーダー・インク」の副社長『アルバート・アナスタシア』を助けるため、
「マーダー・インク」関連の裁判を主導した
地方検事『ウイリアム・オドワイヤー』と親密だった
マフィアのボス『フランク・コステロ』に頼み、
5万ドル以上かけて、警官を買収したそうです。
そして、
地方検事『ウイリアム・オドワイヤー』は、
友人の護衛の責任者『フランク・バルズ』に、殺害を頼み、
就寝中の『エイブラハム・レルズ』を、
1人の警官が警棒で殴って気絶させ、
他の2人の警官が、窓から放り投げたと言われています。
そして、
『アルバート・アナスタシア』は、無罪放免となりました。
事件後、『フランク・バルズ』の率いた護衛チームの5人は、
お金は入りましたが、職務怠慢で追及され、左遷されたそうです。
ちなみに、
「マーダー・インク」の副社長で、
イタリア系マフィアのボス『アルバート・アナスタシア』は、
1917年に、イタリアから、アメリカに密入国し、
ブルックリン臨海区の荷役労働者になったそうです。
その後、『アルバート・アナスタシア』は、
1920年に、同僚と口論になり、
ナイフで刺して、首を絞めて、殺害しました。
『アルバート・アナスタシア』は、
1921年に、逮捕されて死刑を宣告され、
シン・シン刑務所に送られ、独房にいましたが、
2年後の再審で、証人が証言を翻したり、
姿を消したため、死刑が撤回され、無罪釈放されました。
『アルバート・アナスタシア』は、
英語の慣用句「帽子屋のように狂っている
(as mad as a hatter)」から、
「マッドハッター(帽子屋)(狂っている奴)」の異名で恐れられ、
ギャングの中でも凶暴さと残忍さで際立ち、
特に、素手で殴り殺すのが、好きだったそうです。
しかし、
仲間と酒を飲んで、騒ぐ事は、好きではなく、
自宅に戻ると、行儀正しい一般人に変貌し、
隣人に愛嬌を振りまいたそうです。
1921年から1954年の間に、10回以上の逮捕歴があり、
そのうち5回が殺人容疑だったそうです。
ちなみに、
1600-1800年代のイギリスでは、
ウサギなどの縮充性の乏しい硬い動物繊維を、
フェルト化と言って、柔軟にするため、
製造法は、秘密でしたが、
当時は、毒性が知られていなかったので、
水銀や
クロムなどを使用し、
帽子を製造していたそうです。
そのため、帽子職人は、
水銀中毒により、中枢神経系が障害され、
言葉が不明瞭となり、
まっすぐ歩けなくなったりなど、
運動失調、感覚障害、、聴力障害、感覚障害、
幻覚症状や手足の震えに、悩まされていた事から、
「帽子屋のように狂っている
(as mad as a hatter)」と言う英語の慣用句が、出来たそうです。
その上、
当時、梅毒に治療に、水銀を使用していましたが、
水銀で治癒した帽子職人の尿が
フェルト化には、最適と言われていました。
その尿で、フェルト化すると、オレンジ色になるので
フェルト化を、「ニンジン化(carrotting)」すると言ったそうです。
そして、『アルバート・アナスタシア』は、
1954年、脱税容疑で告発された時、
元用心棒『ヴィンセント・マクリ』が、脱税の証言をする予定でしたが、
法廷に現れなかったので、
『アルバート・アナスタシア』は、無罪放免となりました。
その後、元用心棒『ヴィンセント・マクリ』は、
ブロンクスの自分の車の中で、死体で発見されたそうです。
1955年、脱税で起訴した時、
証言する予定だった建築業者は、
安全を考えて秘密の場所に隔離されていましたが、
大量の血痕を残して、妻と共に行方不明になり、
証言者不明のまま、
『アルバート・アナスタシア』は、無罪放免となりました。
そして、
『アルバート・アナスタシア』は、
1956年、移民管理局により不法入国の嫌疑を受けますが、
裁判で巻き返し、訴状は却下され放免されたそうです。
1957年10月25日、
マンハッタンのパーク・シェラトン・ホテルで、
用心棒をホテルの地下駐車場に残し、
理髪店で蒸しタオルで顔を覆っているところを、
突然踏み込んだ覆面の2人に、
5発の銃弾を浴び、即死しました。
その後の捜査は行き詰まり、
犯人を挙げられませんでした。
そして、
「電気椅子を逃れた男の最後は、理髪屋の椅子だった。」、
「死刑執行人が死刑に処された。」と言われました。
「マーダー・インク」の社長『ルイス・バカルター』は、
普段は遠慮がちで、温厚な顔立ちで穏やかな声をしていて、
家族と過ごすことを好み、部下たちに優しかったそうです。
しかし、ビジネスを円滑に行うためには、
暴力を一切躊躇しないというポリシーを持ち、
ものすごく丁寧に、100件以上の殺人業務をしていたそうです。
そして、『エイブラハム・レルズ』の証言により、
1944年3月4日、「マーダー・インク」の社長
『ルイス・レプケ(ルイス・バカルター)』が、
電気椅子により、処刑されましたた。
ちなみに、『ルイス・レプケ(ルイス・バカルター)』は、
アメリカのギャングの大物ボスで死刑になった、
最初で最後の人物と言われています。
そして、「マーダー・インク」は、
一連のメンバー逮捕、処刑により事実上消滅しました。
ちなみに、クロム中毒と言えば、
『ジュリア・ロバーツ』主演の映画「エリン・ブロコビッチ」を、
ビデオで見た事があります。
アメリカで、天然ガス、電力供給を行う企業PG&Eの工場から、
有毒の高濃度の六価クロム溶液を、
10年以上の長期に渡って、大量に垂れ流し、
地域の地下水を汚染し、
周辺住民に、癌などの健康被害が、
多発した結果、事件として発覚したそうです。
『エリン・ブロコビッチ』や600人の住民は、
正式な法律教育を受けていないにもかかわらず、
1993年、PG&Eを相手取って訴訟を起こし、
3億3300万ドル(約400億)の和解金賠償金を、
支払って和解したそうです。
アメリカの裁判は、
アメリカのTVドラマ「スーツ」を、
見れば分かりますが、この事は、凄い事です。
その後、実際の『エリン・ブロコビッチ』は、
多額の和解金を手にしたのですが、
裁判などで忙しかったので、
子供の面倒を見る事が、おろそかになり、
『エリン・ブロコビッチ』の長男と長女は、
10代で薬物依存症となり、
高額な治療費がかかったそうです。
そして、『エリン・ブロコビッチ』は、
和解金で、念願のマイホームも、手に入れましたが、
カビだらけで、建て直したそうです。
そして、PG&Eは、
2000年、カリフォルニア電力危機の際に、
卸売市場からの電力調達を義務づけられた事もあり、
経営危機に陥り、
2001年、経営破綻したので、
債務者自らが債務整理案を作成し、
債務者主導の再建が可能という
連邦倒産法第11章の適用を申請しました。
サンフランシスコなどの
カリフォルニア州北部地域の天然ガス、
電力供給をしていた大切な企業だったので、
カリフォルニア州が、援助しましたが、
2019年、大規模山火事の原因として、
PG&Eの送電設備が原因として、訴訟されたので、
巨額の賠償金支払いが見込まれるとして、
再び、
連邦倒産法第11章の適用を、申請したそうです。
ちなみに、人間には、怖いけど、
動物には優しいギャングが、いたそうです。(続く)
- 関連記事