ドリトル先生と「ジキルとハイド」のモデル-『ジョン・ハンター』(2)-医学のための殺人(1)-殺人ビジネス(1)
- 2021/07/07
- 05:05
スコットランドのグラスゴー郊外で、
父『ジョン・ハンター』65歳、
母『アン・ハンター』43歳の
10番目の子どもとして、生まれました。
『ジョン・ハンター』は、好奇心は、旺盛で、
好きな物を見つけると、周りが見えなくなる程、
集中するのですが、
勉強全般…、特に読み書きが苦手だったので、
13歳で学校を退学し、
屋外で、虫や動物を追いかけまわしたり、
捕まえて、遊んでいたそうです。
その後、20歳になった『ジョン・ハンター』は、
手先が器用だったので、
姉の嫁ぎ先の材木商に居候しながら、
大工を志しました。
そして、
すぐに、頭角を現しますが、
仕事場が、倒産しました。
そのため、
1748年、『ジョン・ハンター』は、
医師、解剖学者として成功を収めていた、
10歳年上の次兄『ウィリアム・ハンター』を頼り、
ロンドンに行き、
助手として、働き始めました。
ちなみに、『ジョン・ハンター』は、
年が離れていたので、次兄『ウィリアム・ハンター』とは、
ほとんど一緒に住んだことは、無かったそうです。
当時、外科は、系統だって勉強できるところはなく、
解剖学教室や生理学教室など、
多くの民間学校が立ち並んでいました。
外科の知識と技術を習得するには、
実際に、人体を切ったりして、
経験を積む必要性がありましたが、
その機会が、あまり無かったので、
当時の外科医は、圧倒的に経験不足でした。
ヨーロッパの大陸側では、
解剖学教室が開かれ、
人体についての知識を深めようとする医学生が、
詰めかけて大盛況でした。
しかし、
イギリスには、解剖学教室が無かったので、
兄『ウィリアム・ハンター』は、そこに目をつけ、
ロンドンで、解剖学教室を開校しました。
そこでは、標本を見て学ぶだけでなく、
実際に、人体を解剖をすることが出来るという事で、
若い医学生に、大変人気がありました。
兄『ウィリアム・ハンター』は、『ジョン・ハンター』に、
出来るだけ遺体を、集める様に指示しました。
ちなみに、
中世以前では、信仰心が、異常に強く、
つつましやかに暮らしていけば、
最後の審判で、肉体が復活し、
天国に行けると信じられていたので、
解剖などで、遺体をバラバラにしたら、復活できないので、
解剖は、死者への冒涜と考えられていました。
ちなみに、15世紀頃から、
死体の服や宝飾類を盗む墓泥棒がいたそうです。
当時、死体の服や宝飾類を盗むことは、犯罪でしたが、
死体そのものを盗むことは、違法ではありませんでした。
富裕層は、墓泥棒対策のため、
墓場の警備強化を行い、
棺を石板などにして、
簡単に、棺を開けられない様にしたり、
死体の首に鉄の首輪をつけ、
釘やネジでその木片を棺の底に固定したり、
棺の蓋がこじあけられたら、
すぐに爆発するよう火薬を仕掛けたり、
墓をこじ開けようとしたら、
発砲されるように銃を仕掛けたり、
トラばさみを、仕掛けたりして、
色々な対策をしていたそうです。
ちなみに、1616年に死亡した、
有名なイギリスの劇作家
『ウィリアム・シェイクスピア』の墓には、

「良き友よ、イエスの名にかけて、
ここに葬られし亡骸を掘り起こすな。
この石を動かさざる者に、幸あれ。
そして、我が骨を暴きし者に、災いあれ。」と書かれています。
そのため、解剖用の死体を集めるのは、
容易な事では、ありませんでした。
そのため、『ジョン・ハンター』は、
墓泥棒に、死体を盗む事を、頼みました。
『ジョン・ハンター』は、酒好きで、気取らず、
スコットランド訛りだったので、
死体泥棒から、
大変気に入られていたそうです。
しかし、
欲しい年齢、体格、妊婦などの死体があるのに、
死体泥棒に連絡が取れない時などは、
『ジョン・ハンター』自身で、
夜中に、埋葬さればかりの墓を掘り返して、
塩水の入ったタルに、死体を入れて、盗んでいたそうです。
ちなみに、
15世紀の博学者『レオナルド・ダ・ヴィンチ』は、
秘密裏に、人間を約30体、解剖したそうです。
当時、イギリスの医学校では、医学が進歩するにつれて、
解剖学の教育と研究用に、使用する遺体の需要が、急上昇し、
合法的に得られる死体の供給が不足していました。
そのため、手段を問わない犯罪者集団がここにつけ込み、
1831年の調査では、7つの死体泥棒集団が、
「復活屋」と言って活動し、
ロンドンだけで、約2百人ほどの死体泥棒がいて、
ほとんどが、パートタイム労働者だったそうです。
死体泥棒は、教会の寺男、墓掘り人、葬儀屋、地元当局など、
多く情報提供者のネットワークを通じて、
死体を見つけていたそうです。
ちなみに、
熟練した死体泥棒は、1体盗むのに約15分で、
一晩で、10体は盗めたそうです。(続く)
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