首を斬られた場合(5)-プラナリア-体が記憶する
- 2021/05/01
- 05:05
扁形動物門のプラナリア(ウズムシ)を、

200以上に裁断した結果、
再生できる栄養環境さえあれば、
遅延や不完全な再生はあったものの、
200を超える全てのプラナリア(ウズムシ)が、
再生したそうです。
ただし、条件があり、
咽頭および目の前にあたる部分には、
万能細胞を持たないため再生出来ないし、
切断実験をする際は、
1週間前から絶食させておかないと、
切断時に自分の体内の消化液で、
自身の体を溶かしてしまい、死亡するそうです。
そして、色々と活躍している、アメリカのタフツ大学の
『マイケル・レヴィン 』博士と『タル・ショムラット』らが、
数百というプラナリアの飼育環境の温度、時間、
水の種類、餌の種類などを徹底的に均一化し、
プラナリアを、暗闇で10日間、
シャーレにざらついた場所をつくり、
ざらついた場所に、
餌がある事を、学習させたそうです。
そして、
学習させなかったプラナリアと一緒にして、
青いLEDライトで、
餌のある、ざらついた場所を照明したそうです。
プラナリアは、光を避ける習性があるので、
ざらついた場所に、
餌があると学習しないプラナリアは、
光の当たるざらついた部分に、行きませんでした。
学習したプラナリアは、
光を避ける習性があるにもかかわらず、
感触を頼りに、
青いLEDライトの当たるざらついた場所に行き、
餌を獲得しました。
その記憶は、
最後のトレーニングから14日間、持続することを確認しました。
そして、
学習していたプラナリアの頭部を切断して、
10-14日後に、
尾部から再生させた個体が、
切断前の記憶が残存しているかを調べる実験をしました。
新たな脳を完全再生したのだから、
覚えていないのは当たり前だと思っていました。
実際、学習していた頭部再生後のプラナリアと、
学習していないプラナリアを比べると、
ざらついた部分の餌への到達時間は、
あまり変わりませんでした。
しかし、
新たな頭部を再生したプラナリアは、
学習していないプラナリアを比べると、
再学習で学ぶ速度が、格段に早く、
一度ざらついた場所にある餌を食べさせただけで、
以前の学習を思い出したかのように行動しました。
この謎を解くにはさらなる研究が必要ですが、
記憶は脳の外にもあるのではないか?
と推測されました。
プラナリアの研究は、再生医療だけでは、なく、
アルツハイマーや認知症など、
老化現象に伴う記憶消失などの治療に、
応用できる可能性が、示唆されました。(続く)
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