ワンマン『吉田茂』(1)
- 2020/12/17
- 05:05
他の人の意見や批判に耳を貸さず、
自分の思い通りに物事を進める、
独裁的な人という意味で使っているのは、
日本だけだそうです。
外交官だった『吉田茂』の政治家デビューが、
67歳と遅かったのですが、
外交官時代に身につけた、
西欧流の哲学で、強烈に自己主張を通したため、
1947年、新聞記者が、
『吉田茂』を「ワンマン」と呼び始めてから、
「ワンマン」と言う和製英語が、
日本全国に、広まったそうです。
「ワンマン(one-man)」と言うのは、
本来、英語の意味は、
独裁的な人という意味ではなく、
「1人だけ」、「個人」という意味です。
舞台・テレビなどで、
1人の出演者を中心に行われる「ワンマン ショウー」、
バスや鉄道などで、運転士が、
車内業務を、1人で行う「ワンマン バス」などから、
独裁的な、思いのままに振る舞うという意味に、
転じたそうです。
ちなみに、
日本で使う「ワンマン」の事を、
英語では、「dictatorial」と言います。
第二次世界大戦敗戦後、
日本は、
GHQ(General Headquarters 連合国軍最高司令官総司令部) の
管理下に置かれていました。
戦後、日本の第一党は、
『鳩山一郎』が、総裁を務める「日本自由党」でした。
通常であれば、
『鳩山一郎』が、総理大臣に任命されるはずでした。
しかし、
第二次世界大戦の前の1930年に、
内閣総理大臣『濱口内閣』が、
陸海軍の兵力を決めようとしていたのに対し、
『鳩山一郎』が、
「兵力を決めるのは、天皇なので、
内閣が兵力数を決めるのは、
憲法違反であり、
天皇の統帥権の干犯に当たる。」と発言した事があったそうです。
国軍最高司令官総司令部(GHQ)は、
『鳩山一郎』が、統帥権について、発言した事を問題視し、
『鳩山一郎』に対し、公職追放を通達しました。
『鳩山一郎』は、総理大臣目前にして、
公職追放の通知書を目にして、

呆然となり驚いたそうです。
ちなみに、
公職追放になった場合、
政治家としての活動は、出来ません。
そのため、
『鳩山一郎』は、
党の総裁と総理大臣の座を任せる代理人を、
急きょ探したそうです。
最初に、
第二次世界大戦前の指導的政党だった
政友会(立憲政友会)の重鎮で、
政界を引退していた『古島一雄』を、
訪ねましたが、
80歳を超えていたので、
高齢を理由に、要請を拒絶し、
外務大臣『吉田茂』を推薦したそうです。
次に、『鳩山一郎』は、
旧会津藩主『松平容保』の六男で、
駐米大使や駐英大使を歴任していた、
宮内大臣『松平恒雄』を、候補として考えました。
しかし、
『鳩山一郎』は、『松平恒雄』を、
直接知らなかったので、
友人の外務大臣『吉田茂』が、
たまたま、宮内大臣『松平恒雄』とも親しかったので、
説得を依頼したそうです。
『鳩山一郎』は、友人の外務大臣『吉田茂』から、
宮内大臣『松平恒雄』は、乗り気だったと聞いて、
会いに行きましたが、
まったく話が、かみ合わなかったそうです。
『鳩山一郎』は、宮内大臣『松平恒雄』と会った後、
重鎮『古島一雄』の推薦もあったので、
その足で、友人の外務大臣『吉田茂』を訪ね、
「あの殿様じゃ、党内が収まらない。
君にやってもらいたい。」と、
友人の外務大臣『吉田茂』に頼んだそうです。
でも、
外務大臣『吉田茂』は、
政治に興味がなかったので、
「俺に、つとまるわけがないし、
もっとも、反対が出るだろう。」と、
依頼を断ったそうです。
ところが元政友会幹事長で、
「日本自由党」の総務を担当し、
権謀術数に長けたことから、
『松のズル平』とも呼ばれている『松野鶴平』が、
『吉田茂』は、総裁になりえる人材だと考え、
この日から毎日、
外務大臣『吉田茂』のもとを訪れて、
総裁を受けるよう口説き、
ついに、その気にさせたそうです。
後日、『鳩山一郎』は、
『松野鶴平』が、
毎日、外務大臣『吉田茂』の所に、
行っていた事を知ったそうです。
そのため、
『鳩山一郎』が、
『吉田茂』と会った時、
「松野君は、外相公邸の塀を乗り越えてまで、
君に会いにいくそうじゃないか。」と、
自分の知らないところで、
事が進んだことが面白くなかったので、
不機嫌な態度で言ったそうです。
それ以降、
『鳩山一郎』と『吉田茂』の良好だった友人関係は、
次第に微妙な関係になっていったそうです。
そして、
『吉田茂』は、『鳩山一郎』に対して、
「総裁を引き受けてもいいが、
金作りは一切やらない。
閣僚の選考に一切の口出しは無用。
辞めたくなったらいつでも辞める。
君の追放が解けたら、
すぐにでも君に返すよ。」と言って、
総裁就任を受諾したそうです。
しかし、…(続く)
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