朝鮮半島情勢(85)-韓国(63)-軍のいじめ(1)-『キム・ドンミン』一等兵
- 2020/11/01
- 05:05
約2年間、軍隊に入り、陸軍下級兵士として、
国防業務をするのが、義務です。
徴兵された兵役の時には、様々な事が起きます。
極端なほど内気な性格で、
引きこもりがちな『キム・ドンミン』一等兵(22歳)は、
大学在学中の2004年に陸軍に入隊し、
2005年1月14日に、
第530前方警戒所へと配属されました。
最初、上官は、
内気な性格を、問題視をしていましたが、
『キム・ドンミン』一等兵が、
「頑張ります!」と前向きな意思を見せた為、
普通に扱っていたそうです。
しかし、
『キム・ドンミン』一等兵は、
古参兵(先輩兵)に対する態度が良くなかったので、
古参兵(先輩兵)らの反感を買って、
嫌がらせを受けていたそうです。
『キム・ドンミン』一等兵は、
小中学校の同級生で、同じ部署に配属されていた
『チョン・ウォンボム』一等兵に対して、
何度も、「手榴弾と小銃で、古参兵(先輩兵)らを、
皆殺しにしたい。」と話をしていたそうです。
『キム・ドンミン』一等兵が、
入隊前まで、「ゲーム狂」と言われるほど、
シューティングゲームなどの
オンラインゲームに没頭していたので、
『チョン・ウォンボム』一等兵は、
『キム・ドンミン』一等兵に対して、
「オンラインゲームで、敵を殺すのは問題ないが、
現実は、違うので、殺すとか簡単に言うな。」と、
注意していたそうです。
2005年6月19日午前2時30分頃、
京畿道漣川郡の軍事境界線付近の
陸軍第28師団第530前方警戒所で、
2人1組で歩哨に立っていた『キム・ドンミン』一等兵が、
「次の当番を起こしに行く。」と同僚に言い残し、
兵舎に向かいました。
その時、兵舎で、K1A機関短銃などの兵器を盗み出しました。
その後、
『キム・ドンミン』一等兵は、内務室に向かい、
日頃から特に嫌いと思っている『イ・テリョン』上等兵らの寝室に、
手榴弾を投げ込みました。
この時、手榴弾に気が付いた『パク・ウィウォン』上等兵は、
被害を抑えるため、
手榴弾の上に覆いかぶさり、爆発で即死しました。
そして、『キム・ドンミン』一等兵は、
隣接するトレーニング室に行き、
小隊長『キム・ジョンミョン』中尉を、
背後から射殺しました。
『キム・ドンミン』一等兵は、
炊事室から炊事係『チョ・チョンウン』上等兵が、
銃声に驚いて、出てきた所を、射殺しました。
そして、『キム・ドンミン』一等兵は、
再び内務室に戻り、そこにいた兵士に向けて、
無差別に乱射したので、
沢山の兵士が撃たれて死亡し、
2人の兵士が負傷しました。
そこで、
『キム・ドンミン』一等兵の銃弾が切れたので、
平然と持ち場へと戻り、
歩哨の勤務を再開しました。
銃声に驚いて小隊長代行及び憲兵隊が、
現場に駆けつけた時には、
死体の山と、傷で意識が薄れている2人の兵士がいました。
小隊長代行及び憲兵隊は、
倒れている兵士に、誰にやられたかを聞きましたが、
「突然だったので、
はっきりと顔を見ていなかった。
着ていた制服は、第530前方警戒所の物だったので、
仲間だと思うが…、」と言って、2人の兵士は、意識を失いました。
犯人を捜すために、
『キム・ドンミン』一等兵を含む勤務中の歩哨5人を招集し、
武装解除した後、調査を始めました。
そして、
『キム・ドンミン』一等兵の体から、
火薬の臭いがする事や、
自分のものではないK1A機関短銃を持っていたので、
追及すると、
『キム・ドンミン』一等兵は、犯行を自供しました。
この事件により、
8人が死亡し、2人が負傷しました。
『キム・ドンミン』一等兵は、
逮捕直後、
「歩哨交代の際、次の当番を起こす為に兵舎に向かうと、
普段自分をいじめていた上等兵たちの顔が、
目に入り、
衝動的に手榴弾を投げた。」と、
衝動的な犯行だったと供述しました。
しかし、
調査の結果、『キム・ドンミン』一等兵は、
犯行1週間前に殺害及び前方警戒所爆破を、
計画、準備していたことが、分かりました。
そして、6月17日の日付の入った
『キム・ドンミン』一等兵の筆跡の紙が、ゴミ箱から見つかり
そこには、
友人『チョン・ウォンボム』一等兵も含め全員を殺害し、
爆薬や燃料を用いて前方警戒所を爆破して、
民間人出入統制線の南側に逃走する計画が、
書かれていました。
そして、事件後、生き残った27人のうち、
8人は軍の精神病院に入院し、
16人が精神的な後遺症が、残ったそうです。
ただ、
調査報告では、不思議な事が分かりました。
手榴弾が爆発した内務室には、
血痕などの痕跡が残っていない事、
上等兵らは、
全員が、自分のものでない寝台の上で、
死んでいた事、
炊事室やトレーニング室で、
銃を乱射したのに、
薬莢など発砲の痕跡が全くないなど、
不審な点が、いくつかあったそうです。
この事に関しては、
漣川郡銃器事件遺族対策委員会が調査した所、
射殺現場で、生き残った2人の兵士が、
「『キム・ジョンミョン』中尉が、
小隊で、秘密作戦を行っていた時に、
北朝鮮軍の襲撃を受け、戦死したけど、
北朝鮮ともめ事を起こしたくないので、
隠蔽するために捏造した事件だ。」と証言しました。
しかし、
国防部は、調査検証が行われた事と、
『キム・ドンミン』一等兵の自供がある事を根拠とし、
「襲撃後の極めて混乱した状況下で、
いくつかの誤報があったものの、
これまでの調査で、
全ての事実が明らかになった。
これ以外の真実はない。」として、
北朝鮮攻撃説を、否定しています。
そして、
軍法会議で、『キム・ドンミン』一等兵は、
容疑を全て認めたので、2008年死刑が確定しました。
しかし、
現在、韓国で判決が確定している死刑囚は、
民間人が57人、軍人は4人ですが、
韓国では、1997年12月30日以降、
死刑を執行していないので、
アムネスティ・インターナショナルは、
韓国を「実質的な死刑廃止国家」に、
分類しているそうです。
ちなみに、
アムネスティ・インターナショナルとは、
1960年、イギリスの弁護士『ピーター・ベネンソン』が、
創設したものです。
ある時、『ピーター・ベネンソン』が、
新聞を読んでいると、
『アントニオ・サラザール』独裁政権下のポルトガルのカフェで、
2人の学生が、「自由のために!」と乾杯したために逮捕され、
7年の刑を受けた、という記事を読みました。
その記事に強い衝撃を受けた『ピーター・ベネンソン』は、
1961年、英国の「オブザーバー」紙と
フランスの「ルモンド」紙に、
政府との意見の違いにより、
軍や警察などの国家権力によって自由を奪われ、
その存在すらも消されてしまう人びとがいる。
そうした人びとを忘れないために、
世界中の人びとが声をあげることが出来れば、
良いという事を、投降しました。
すると、その記事が大反響を呼び、
人権擁護、死刑の廃止などを啓発する運動が、
多数の人々の支持を得ました。
そして、
『ピーター・ベネンソン』は、
「暴力をもちいていないのに、
自らの信念や人種、宗教、肌の色などを理由に、
囚われの身となった人びとを、『良心の囚人』と呼び、
『良心の囚人』の釈放を求め、
世界各国の市民の手で、
各国の政府に手紙を書こう。」と呼びかけて、
アムネスティ・インターナショナルが、誕生したそうです。
ちなみに、
『アントニオ・サラザール』は、
『J・K・ローリング』の『ハリー・ポッター』に登場する、
蛇語が堪能で、差別意識がすごい
『サラザール・スリザリン』のモデルだそうです。
『アントニオ・サラザール』の話も、
興味深いので後日…。(続く)
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