朝鮮半島情勢(64)-北朝鮮(16)-脱北(5)
- 2020/08/15
- 05:05
高位層の人たちへの監視、盗聴が、
行われている事があるそうです。
人民武力部長『玄永哲』大将が、
表向きは、
『金正恩』の演説中の居眠りをしていたという不敬罪で、
処刑されましたが、
実は、人民武力部長『玄永哲』大将は、
自宅にいる時、
自宅で盗聴されている事を忘れて、
つい、北朝鮮政権に対する批判発言をしたので、
発覚して処刑されたそうです。
ちなみに、
『金正恩』の兄『金正男』のように、
『金正恩』に銃殺された幹部は、
2013年30人、2014年31人、2015年8人で、
末端レベルでは、把握されていない位、
多くの人が、殺害されました。
韓国に亡命した北朝鮮要人が、
北朝鮮側に命を狙われた例は、複数あります。
『李一男(李韓永)』は、
『金正日』の元妻『成蕙琳』の実姉『成蕙琅』の息子で、
『金正日』の長男『金正男』の親友で、
権力中枢部の情報を知っていて、
1982年に韓国に脱北し、
北朝鮮による報復への懸念から、
名前も本名『李一男』から『李韓永』と変更して、
顔の整形手術を受けたそうです。
そして、結婚し、
韓国放送公社に入社して、
ロシア語の放送プロデューサーとなりました。
韓国政府から、北朝鮮を刺激しない様にと、
忠告、警告がありましたが、
義の精神から、
北朝鮮を正面から批判した暴露本を出版しました。
暴露本では、
北朝鮮の「喜び組」をはべらせた、
秘密パーティーなどの内幕が書かれていたので、
『金正日』は、激怒したそうです。
そして、
1997年、『李一男(李韓永)』は、36歳の時、
韓国の道城南市の身を寄せていた友人宅の前で、
北朝鮮の工作員により、
頭部に銃撃を受けて、脳死状態に陥り、
10日後に死亡しました。
その後、実行犯の北朝鮮の工作員夫婦が、
逮捕されました。
逮捕された時、妻は自殺に成功しましたが、
夫は自殺に失敗し、逮捕されました。
そして、夫を取調べた結果、
夫婦は北朝鮮の特殊工作チームで、
『金正日』の指示だったという事が、分かりました。
その後、
2002年、『李一男(李韓永)』の妻は、
「韓国の保護対策が、充分ではなかったので、
夫『李一男(李韓永)』が、殺害された。」として、
韓国政府に対して、損害賠償請求を起こしました。
2008年、最高裁は、
『李一男(李韓永)』が、
韓国政府の忠告、警告を無視して、
インタビューに答えたり、
暴露本を出版したことから、
『李一男(李韓永)』にも、落ち度があるとして、
賠償額は、請求額の6割の約860万円だったそうです。
『黄長燁』は、
北朝鮮の金日成総合大学総長、
最高人民会議議長、朝鮮労働党書記などを歴任した、
北朝鮮の最高指導者に近い存在で、
指導理念である主体思想の権威とされていました。
しかし、
1997年、北京で韓国大使館に申請し、
韓国に亡命しました。
脱北した理由は、
祖国の体制に義憤を覚え、
その変革を図るためと述べていますが、
『黄長燁』は、独裁化を進めた当事者なので、
在中国朝鮮人の女性との不倫関係で、立場が悪化し、
権力闘争に敗れたため、
保身を図って、脱北したと言われています。
脱北した『黄長燁』は、
北朝鮮の暗殺対象となりました。
そして、
北朝鮮の工作員2人が、
脱北者を装って、韓国に入り、
韓国人男性を使ったりして、
チャンスを、うかがっていましたが、
実行前の2010年4月に、
北朝鮮の工作員2人は、逮捕されました。
逮捕された北朝鮮の工作員は、調べに対し、
「北朝鮮上層部から、
『黄長燁』が明日死ぬとしても、
自然死させてはいけないと指令を受けた。」と供述しました。
その後、2010年10月『黄長燁』は、
ソウルの自宅浴室内で心臓麻痺で死亡したそうです。
韓国政府は、事件性がないと発表しました。
そして、
北朝鮮の秘密警察、
国家保衛省の防諜担当部署の幹部で、
中国瀋陽の北朝鮮系のホテルに事務所を構え、
中国、ロシア、東南アジアで活動する工作員を指揮し、
『金日成』の母『康盤石』の父『康ドヌク』の子孫で、
金王朝の一員で、
ビック3と言われていた『康大佐』が、脱北しました。
北朝鮮に住む『康大佐』の息子が、
韓国と米国の映画の視聴容疑で摘発され、
その時、家宅捜索が行われたのですが、
『康大佐』が、
海外で不正蓄財を行っていることを示す帳簿が、
発見され、
『康大佐』に対して、召喚状が出されましたが、
危機を察知した『康大佐』は、
北朝鮮に、家族を残したまま、
偽ドル札印刷の原版と
高額の外貨を持ち、姿を消したそうです。
『金正恩』は、
「祖先が革命家であっても、子どもがそうとは限らない。
忠誠心が大切だ。」と言って、
機密情報を知る立場にあった『康大佐』の殺害を命じ、
潜伏先と思われる各国に、工作員を送り込んだそうです。
しかし、成果を挙げられないので、
『金正恩』は、
「すぐにでも、除去しろ!」と激しく怒り、
工作員を増員したそうです。
しかし、『康大佐』は、
北朝鮮の工作員の指揮にあたっていた人物で、
元部下のやり方、性格などすべてを知っているので、
簡単には捕まらないと考えられていて、
現在も、潜伏先の国でさえ、特定できていないそうです。(続く)
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