朝鮮半島情勢(54)-北朝鮮(7)-収容所(1)
- 2020/07/05
- 05:05
「拷問や銃殺しても国を守るためと、
何も感じなかった。」と言っています。
人間は、特定の状況に置かれると、
感覚が麻痺して、通常では考えられないような、
ひどい行動におよぶ場合があります。
そのことを示したのが、アイヒマン実験です。
ナチスドイツの親衛隊将校
『アドルフ・オットー・アイヒマン』は、
普通の人でしたが、
第二次大戦中、強制収容所における、
ユダヤ人大量虐殺の責任者でした。
そして、
イェール大学の心理学者『スタンレー・ミルグラム』は、
ユダヤ人を両親に持つのですが、
ユダヤ人が大量に殺害された、
ホロコーストのメカニズムを研究するため、
普通の人が、
権威への服従のため、
残酷になるという実験を行いました。
この実験は、
白衣を着て、
権威のありそうな監督役の実験者から、
指令を受けた教師役と
生徒役に分かれ、
教師役が生徒役に問題を出します。
もし、
生徒役が問題を間違えると、
教師役は、
権威のありそうな監督役の実験者から、
生徒役に電気ショックを与えるように指示されます。
しかも、
間違えるたびに電圧を、上げ続けます。
教師役が電気ショックを与えつづけると、
生徒役は、苦しむ様子を見せます。
でも、実は、生徒役は、役者で、
電気など通じていないので、
生徒役の苦しむ姿は嘘で、
叫び声を上げたり、身をよじったり、
失神するというのは、演技で、
教師役は騙されて、
生徒役が、本当に苦しんでいると信じていました。
それでも、
教師役を務めた被験者の半分以上が、
生徒役が失神するまで、電気ショックを与えました。
白衣を着て、権威のありそうな監督役の実験者から、
「続行してください。あなたに責任はない。」と言われたので、
教師役はボタンを押すのをためらいながらも、
どんどんエスカレートして、
生徒役が失神するまで、実験を継続しました。
結果、分かったことは、
権威のある人のもとでは、
人間は際限なく、残酷になってしまうという事でした。
『クォン・ヒョジン』は、
知らない間に、韓国スパイの逃亡に加担したという事で、
北朝鮮の「教化所」に、7年間収容された後、韓国に亡命し、
現在、
強制収容所の「教化所」に収容されていた体験を、
韓国各地で講演を行っています。
『クォン・ヒョジン』の体験談によると、
「北朝鮮では、
『金正日』、『金正恩』の考えが、絶対的な法律で、
それを破ったのであれば、
何をされても、仕方がないという思想が、
北朝鮮国民には、浸透しています。
北朝鮮では、あらゆることが禁止され、
破ると、「教化所」へ送還され、拷問されます。
実例を挙げると、ある女子大生が、
韓流ドラマを観たというだけで収容され、
思想教育、拷問されたそうです。
そして、
北朝鮮では、外国の映画を見ることが禁止されていますが、
中国を通じて、韓国のDVDやディズニー映画、日本映画などを、
秘密裏に、入手する事が可能でした。
しかし、
私の友人の母親が、
ジェームズ・ボンドの映画を見たために、
公開処刑で、銃殺されました。
北朝鮮では、
強制収容所へ送還され拷問されることが、
当たり前なので、誰も何も言いません。
ちなみに、
『金正日』は、
ジェームズ・ボンドの映画「007シリーズ」は、
全て繰り返し見て、工作機関の参考にしたそうです。
「教化所」では、看守たちが2時間交代の勤務の際に、
憂さ晴らしを兼ねて、棒でたたいたり等、
囚人に拷問を加えていました。
囚人たちに与えられる食事は、
少量のトウモロコシ粉と粥のみだったので、
常に飢えていて、
食べ物のことが頭から離れず、
雑草を抜いて食べたり、
虫を食べたりして、食べれそうな物は、
何でも口に入れていました。
しかし、
「教化所」では、
栄養失調になって、
自分の知っている範囲では、
1日平均約3人、多い時には約5人、
死んでいました。
囚人が死体を運び出し、
穴を掘って埋めるのですが、
穴に埋める時、
まだ、息をしていることもありました。
でも、
何か言うと罰せられるので、そのまま埋めました。
穴に落とした死体に看守たちが、
小便をひっかけることもありました。
囚人が自殺することは、極めて稀です。
何故なら、
自殺者が発生した場合は、
【北朝鮮の現政権に対する反逆の責任を免れるため、
自殺した。】とみなされ、
残された家族、親戚までも、責任を取ることになり、
公開の場に引き出されて、
拷問を受けたり、侮辱されるからです。
そのため、囚人の自殺は抑止されています。
収容所では、脱獄を試みたり企てたりした者、
そのような活動を報告しなかった者はもちろん、
気まぐれでも、公開処刑が頻繁に行われていました。
公開処刑は、
すべての囚人たちは、
立ち会わ会うことになっていました。
ただし、公開処刑は、
重労働、慢性的な飢え、虐待から、
わずかでも解放される、
息抜きのような時間に感じました。
「教化所」での最大の目標は、生きて出ることでした。
「教化所」生き残るには、
看守たちしか頼れるものはないので、
看守たちに媚びたり、密告したりしないと、
生き残れませんでした。
北朝鮮は、
国民に実情を知られないように、
海外の情報を、遮断しているので、
北朝鮮内部に、情報をどんどん送り込むべきです。
そして、
他の社会では当たり前の人権を、
北朝鮮国民は持っていない。
他の社会では、
自由に生きているということを知ります。
そして、
だまされて生きてきたという事を知り、
北朝鮮の独裁体制への反感が、
湧いてくるのです。
北朝鮮と韓国が統一した後に、
北朝鮮の国民が、
資本主義社会を理解し生きていけるように、
私が韓国で経験したことを共有し、
故郷の人たちが、
自由な社会で、暮らせる力になりたいです。
南北統一を果たして、
自由となった故郷に帰ることが、
私の願いです。」と話しています。(続く)
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