『項羽』の愛馬『騅』
- 2019/12/26
- 05:05
『関羽』や『呂布』の赤兎馬が、有名ですが、
他にも、『項羽』の愛馬『騅(すい)(烏鵻)』も名馬で有名です。
『項羽』は、青白い愛馬『騅(すい)』を、
可愛がり、絆が強かったそうです。
『項羽』は、
「『騅(すい)』に乗って5年、向かう所敵なし。
千里を走る名馬。」と言っています。
ちなみに、「四面楚歌」で有名な場面、
『項羽』が垓下城で漢の大軍に包囲された時、
最後の出撃の前に詠んだ歌にも、
『騅(すい)』が出てきます。
「力は山を抜き気は世を蓋う
時利あらず騅逝かず
騅逝かざる奈何すべき
虞や虞や若を奈何せん
意訳:
自分は、山を抜く程の力、
世の中を覆う程の気概を持っていたが、
天は、味方をしてくれなかった。
愛馬『騅(すい)』は、もう力尽きてしまった。
これでは、どうして戦う事が出来ようか?
虞よ虞美人よ、
君をどうすればいいだろうか?」
ちなみに、
その翌朝、『項羽』は、愛馬『騅(すい)』にまたがり、
取り囲んでいた漢軍を突き崩し、
遥か長江のほとりまで、逃げのびたそうです。
長江には、
『項羽』が旗揚げした、
思い出深い呉中の亭長(役場の長)が、
船で『項羽』を待っていました。
亭長は、『項羽』に、
「もう一度、呉中に戻って初心に帰り、
再起しましょう。」と言いましたが、
『項羽』は、感謝の言葉を残して断り、
亭長に、
「『騅(すい)』を、乱戦で殺すに忍びない。
今後、『騅(すい)』の面倒を見てくれ。
これが、最後の戦いだ。」と言って、
愛馬『騅(すい)』を、亭長に渡すと、
『項羽』は、僅かな兵士と共に、
多くの兵士のいる漢軍の只中に、
飛び込んで行きました。
呉中の亭長は、
『騅(すい)』を船に乗せましたが、
『項羽』の危機を感じ取ると、
船の上で暴れ、長江に飛び込みました。
そして、『項羽』のいた方向の河岸に向かって、
泳ぎ続けますが、
やがて、『項羽』が、死んだことを感じ取ると、
そのまま、川底へ沈んでいったそうです。