トイレの神様(1)
- 2019/12/09
- 05:05
「八百万神(やおよろずのかみ)」という言葉があり、
あらゆるものに、
霊魂が宿っていると信じられてきました。
ちなみに、
古事記によると、
イザナギとイザナミが、国産みを終えた後、
長男『大事忍男神』を生んだ後、
壁土の神『石土毘古神』、石砂の神『石巣比売神』、
門の神『大戸日別神』、屋根の神『天之吹男神』、
暴風から家を守る神『風木津別之忍男神』の
家を守る神を家宅六神と言われる6人の子供を産みました。
そして、家の中には、
年の初めに訪れる、家を守護する神『大歳神』、
水回りを守る神『天之水分神』、
台所、浴室の神『火之迦具土神』、『三宝荒神』、
戸棚や柱の神『大黒様』、
門の神『天石門別神』と沢山の神様がいるそうです。
そして、
神様は、トイレにもいます。
昔の日本では、
便所は、人間の排泄物は流れて、
海そして、他の世界へと運ぶ通路だったので、
この世とあの世とを行き来できる空間、
怨霊と悪魔が出入りする所と考えられ、
トイレの神様は重要視されていました。
日本全国、トイレに神様がいるのですが、
『植村花菜』の「トイレの神様」の歌がヒットするまで、
トイレの神様は、
あまり有名ではありませんでした。
その昔、沖縄では、
中国発祥の便所と豚小屋が一体化し、
ブタが、人の大便を餌として、
食べるという仕組みの「フール(豚便所)」が、
ありました。
そして、豚便所は無くなり、
普通のトイレになりましたが、
トイレには、屋敷内の神様で一番強い、
『フルヌカン(フール神)(フールヌカミ)』がいる事は、
沖縄では、
昔から、みんな知っていました。
琉球王朝時代の政治家『蔡温(具志頭親方文若)』は、
トイレ、井戸、屋敷の四隅などには、
神がいるから常に清めなければならないと、
常に言っていたそうです。
『フルヌカン』について、
沖縄県の与那国島に伝わる話があります。
神様が集まり、
家を守る屋敷神の担当を決める事になった時、
土地と屋敷は、『ヤシチガミ』、
門は、『ジョウヌカミ』、
玄関から門の間は、『ナカジンヌカミ』、
家の四隅には、『ユンシヌカミ』、
大黒柱は、『トゥパシラヌカミ』、
台所は、火の神『ヒヌカン』が、担当する事になりました。
ちなみに、『ヒヌカン』は、
その家族の1年間の出来事を
天上界の神様へ、報告するそうです。
そして、トイレは、
もっとも美人の女神の『フルヌカン』が、
担当になったそうです。
ちなみに、屋敷神の中では、
『フルヌカン』が、一番権威があるそうです。
沖縄では、ビックリした時、事故などで、
「マブイ(魂)」を落とし、
力が抜けたり、体が不調になった時、
「マブイ(魂)」を元に戻すため、
「マブイグミ」を、するそうです。
その方法は、
「マブイ(魂)」を落としたと場所に、
本人を連れて、
「マブヤー、マブヤー、ウーティクーヨ。
(魂よ、魂よ、追ってきなさい」と唱え、
落ちている小石を、3個拾って、
その人の懐に入れて、
「マブイ(魂)」を戻すそうです。
しかし、
「マブイ(魂)」を落とした場所が不明の場合、
「マブイグミ」の力を持つ便所の神『フルヌカン』を、
頼るそうです。
「フルヌカン様、
Aが、どこかで、「マブイ(魂)」を、
落としてしまいました。
どうか、「マブイ(魂)」を戻してくださるよう、
お願いします。」と祈るそうです。
それで、「マブイ(魂)」が戻るそうです。
ちなみに、
トイレの神様の由来は、
沖縄(ウチナー)だけではなく、
有名ではありませんが、
沖縄以外の都道府県(ナイチャー)でも、
話があります。(続く)