神隠し(2)
- 2019/12/06
- 05:05
『稲福婆(イナフクバア)』の話を思い出しました。
16-17世紀の話ですが、
沖縄本島の西原間切の棚原に、
『稲福婆(イナフクバア)』という祝女がいました。
他の祝女と一緒に、
上ヌ御嶽(マニシカニービ御嶽)で、
祭事を執り行っていた時に、
突然、煙が出て来て、消えたそうです。
それから3年後、我謝村の鍛冶屋大主が、
船を出して沖で釣りをしていた時、
海面に、頭から体まで、
フジツボや貝殻や海藻などが、
付着した、意識の無い老婆が浮かんでいた。
息があったので、船に乗せ、岸まで連れて行き、
介抱したそうです。
その後、
『稲福婆(イナフクバア)』が、
会話ができるまで回復しました。
話によると、
自分が消えたあの時、
煙が出たと同時に気を失い、
気が付くと、
海のかなたの理想国「儀来河内(ギライカナイ)」に飛ばされ、
貝ばかり食べていたそうです。
すると、
体じゅうに、貝殻が付着してきたと話しました。
しばらくすると、
首里城にいた王の耳に入り、
王が会いたいと言う事で、
首里城に行くことになりました。
そして、『稲福婆(イナフクバア)』は、
「儀来河内(ギライカナイ)」を見たという事で有名になり、
『儀来婆』と呼ばれるようになりました。
首里城に来ると聞いた人々は、
『稲福婆(イナフクバア)』を一目見ようと、
首里城の城門前に、大勢の人々が集まったそうです。
『稲福婆(イナフクバア)』は、
大勢の人々に驚いたそうです。
すると、『稲福婆(イナフクバア)』は、
両脇に手を入れると当時に、
煙が出て来て、消えてしまったそうです。
人々が捜索していると、
上ヌ御嶽(マニシカニービ御嶽)でうずくまっていた
『稲福婆(イナフクバア)』が、
発見されたそうです。
そして、
首里城にいる王に、拝謁したそうです。
その後、
『稲福婆(イナフクバア)』は、
その後、消える事もなく、
健康に過ごし、
約80歳で、死亡したそうです。
煙と共に消えると言えば…、(続く)
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