マッターホルンで見た不思議な十字架(7)
- 2019/08/08
- 05:05
「たった一歩足を滑らせたこと、
一歩誤ったところに足を運んだことが、
この悲惨な状況全ての原因だった。
『タウクヴァルター』父子に、責任はない。」と言いました。
そして、捜索隊により、
『フランシス・ダグラス』卿以外の3人の遺体が発見され、
収容されました。
『エドワード・ウィンパー』と『タウクヴァルター』父子は、
3日間連続で、犠牲者の捜索に参加したにもかかわらず、
「自分たちが助かるために、ロープを切ったのでは?」と、
噂されたそうです。
そのため、
スイス当局は、査問委員会を開いて調査した結果、
事故は、『ダグラス・ハドウ』が、足を踏み外して、
その衝撃で、ロープが岩に当たり、
擦り切れたのが原因。
ロープは故意に切られたのではないので、
『エドワード・ウィンパー』と『タウクヴァルター』父子は、
無実という結果でした。
しかし、無実と結果が出ても、
『タウクヴァルター』父子の所で、ロープが切れたので、
「自分の身を守るために、
ロープを切ったのではないか?」という悪い噂が、
いつまでたっても消えませんでした。
そのため、2回の事情聴取を受け、
『タウクヴァルター』父子は、
ガイドとしての評判を落としました。

マッターホルン博物館に展示されている問題の切れたロープ。
確かに、切れ端の断面を見ると、
ナイフで切ったのではなく、擦り切れたように見えます。
そして、『エドワード・ウィンパー』は、
イギリスに帰国してからも、
世間からの非難が多かったそうです。
ビクトリア女王は、
この衝撃的な事故に関心を示し、
登山禁止の法令を整備しようとしましたが、
宮内式部長官との協議の結果、
登山を法律で禁止することは、見送られたそうです。
そして、(続く)
- 関連記事