クマの『ヴォイテク』伍長(2)
- 2019/05/30
- 05:05
ボクシングやレスリング遊びをしたり、

音楽に合わせて踊ったり、
ドライブを楽しんだしりて、

充実した日々を送り、順調に成長していったそうです。

『ヴォイテク』は、ひとりぼっちにされると、
「かまって」と鳴いたり、
触ってもらいたい時は、
頭や体やお尻を、押し付けてきたそうです。

そして、
いたずらをして、しかられると、
前足で、顔を隠すなどの仕草をしたそうです。
そして、
教えたわけではないのですが、
敬礼も出来たそうです。
ちなみに、『ヴォイテク』は、人間だけではなく、
犬とも仲良くなり、

転げまわって遊んでは、
兵士たちを、なごませたそうです。
しかし、『ヴォイテク』は、
全ての動物と仲が良いわけでは、ありません。
ある日、馬に近寄ったところ、
おびえた馬に、
頭や首を、蹴られてしまいました。
その後、馬やロバにだけは、
近寄ろうとしなかったそうです。
そして、
兵士以外の一般市民人にも、人気が出たので、
付近に駐屯していた全部隊の非公式のマスコットとなったそうです。

そして、
ポーランド陸軍に正式に徴兵され、
ポーランド第2軍団第22弾薬補給中隊に配属されました。

その後、イラク、シリア、パレスチナ、エジプト、
そして、イタリアなどに、転戦することになりました。
でも実は、
輸送船で、動物を運ぶことは禁じられていました。
そのため、
第2軍団司令官『ヴワディスワフ・アンデルス』中将が、
『ヴォイテク』に、伍長の階級を授与し、
専用の軍籍番号と軍隊手帳が発行されたので、
渡航が許可されたそうです。

1944年、ナポリ港で、英国役人『アーチボールド・ブラウン』は、
エジプト、アレキサンドリアから到着したばかりのポーランド兵部隊を、
ドイツ・イタリア軍と戦う連合軍への援軍とする手続きをするために、
手にしている名簿を見て、「『ヴォイテク』伍長!」と呼びましたが、
誰も前に出る者は、いませんでした。
『アーチボールド・ブラウン』は、間違えたかと思い、
もう一度、名簿を見て、
『ヴォイテク』伍長の名前、
そして、軍籍番号と軍隊手帳を確認し、再び呼びました。
しかし、誰も出てきませんでした。
すると、ひとりの兵士が、ニコしながら歩み出て来て、
『アーチボールド・ブラウン』に、
檻の中にいるシリアヒグマの
『ヴォイテク』伍長を紹介しました。
その後、『アーチボールド・ブラウン』は、
このことが印象に残ったらしく、
この話を、何回も周囲に話したそうです。(続く)
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