クマの繁殖に必要なのは…
- 2019/05/20
- 05:05
ツキノワグマです。
体重は、オスで50-120kg、メスは40-70kg。
最大体重は、173kgです。
動物園勤務の時は、
ニホンツキノワグマを、飼育していました。
ツキノワグマは、
管理しやすいという事で、
暖房を入れて、食事も与えて、
冬眠は、させていませんでした。
クマの冬眠中は、エネルギーの消費を最小限に抑えるため、
体温や心拍数、呼吸数を減らし、
食物や水分をとらず、排泄物しないと言われています。
尿は、膀胱壁から再吸収し、
タンパク源として再利用する機能が働き、
冬眠前に身体に溜め込んだエネルギーで、
生命を維持していると考えられています。
ツキノワグマは、6-9月頃に交尾しますが、
受精卵はしばらくの間子宮の中を漂い、
着床して妊娠が始まるのは、
11-12月頃で、この繁殖生理は、
「着床遅延」と呼ばれています。
ツキノワグマは、冬眠(冬ごもり)し、
冬眠中、出産する事が知られています。
大森山動物園では、
ツキノワグマの繁殖に、成功していませんでした。
ツキノワグマを繁殖させたいという事で、
飼育係たちと話し合い、
自然界と同じく冬眠させたら繁殖するのでは?という事になり、
食事の量を秋に多く与え、暖房を入れずに、
ドラム缶を置いて、
その中にたくさんのワラを敷き詰めて、
冬眠させる事になりました。
そして、
冬眠から覚めた時、ツキノワグマは、
子供と一緒にドラム缶から出てきました。
ツキノワグマは、雑食性で、
果実、芽、動物、昆虫、動物の死骸などを食べます。
動物園では、ツキノワグマには、
鳥や馬などの肉やパン、リンゴ、
配合飼料などを与えていました。
ちなみに、配合飼料は、
犬、猫、鳥、魚、亀のフードだけではなく、
オリエンタル酵母工業株式会社、
フィード・ワン株式会社(旧日本配合飼料株式会社)などから出している、
クマ、ゾウ、カンガルー、サル、
ツル、フラミンゴ専用の物があり、使用していました。
ツキノワグマの飼育下での、平均寿命は、約33歳で、
長寿記録では、39歳です。
広い縄張りを持つクマは、
イヌより多くの嗅覚受容体があります。
そのため、
最も嗅覚の優れた犬種で、
嗅覚の優れた犬種を目指して作りだされ、
「魔法の嗅覚」を持つと言われている
ブラッドハウンドの約6-7倍優れていて、
地球上の動物の中で、最も鼻が利く動物とも言われ、
条件が良ければ、
約30km先の食事=動物の死体や果実の匂いを、
嗅ぎつけることが出来ます。
ちなみに、
平均的なイヌの嗅覚は、人間の100倍、
ブラッドハウンドは人の300倍、
クマは、人間の約2100倍も嗅覚が優れているそうです。
そして、
クマと人との関係と言えば、
『ヴォイテク』伍長の事を思い出します。
世界大戦では、犬の『スタビー軍曹』だけでは無く、
クマの『ヴォイテク』伍長も活躍しました。(続く)