マタギから聞いた話(30)-おかっぱ頭の女性
- 2019/05/06
- 05:05
シカリのSさん親子から聞いた話を続けます。
マタギのHさんは、信心深く、
始めていった町でも、
祠や地蔵さまを見かけると、
いつも拝んでいたそうです。
ある時、
県外の猟仲間の所に泊りがけで、
一緒に、山に猟に出かけたそうです。
Hさんは、山に祠があったので、
いつもの様に拝んだそうです。
そして、猟が終わり、車に乗り、
猟仲間の家に向かいました。
山を出て町中になり、
信号で止まっている時、
Hさんが、何気なく車の中から外を見ていると、
おかっぱ頭の、
ヒラヒラした袖の長い白い服を着た中年女性が、
フラフラと歩いているのが、目に留まりました。
すると、
中年女性が笑いかけながら、
近付いてきたので、
Hさんは、
「あの女性は、知り合いですか?」と仲間の猟師に聞くと、
「えっ?誰もいませんよ。」と言いました。
でも、Hさんは、
「ほら!目の前にいる白い服を着た女性です。」と指をさしましたが、
仲間の猟師は、「どこ?誰もいませんよ。」と言って、
キョロキョロと見まわしていました。
そうしているうちに、
女性は、Hさんにニコッと笑いかけると、
地面に吸い込まれるように、消えたそうです。
その時、Hさんは、
マタギの祖先の『磐司(磐次郎)』と『磐三郎』の物語に出てくる
山の女神が、ヒラヒラした袖の長い白い服を着た
おかっぱ頭の中年女性だったことを思い出し、
今日、山の祠に手を合わせたから、
山の神様が町に遊びに来たんだと思ったそうです。
『磐司(磐次郎)』と『磐三郎』の物語は、後日、詳しく…。(続く)
- 関連記事
-
- マタギから聞いた話(17)-山奥の巨大な石の建築物
- マタギから聞いた話(18)-細い手
- マタギから聞いた話(19)-誰もいない部屋
- マタギから聞いた話(20)-空腹
- マタギから聞いた話(21)-火の玉
- マタギから聞いた話(22)-見慣れた風景
- マタギから聞いた話(23)-道筋
- マタギから聞いた話(24)-掟(1)
- マタギから聞いた話(25)-掟(2)
- マタギから聞いた話(26)-掟をやぶると…
- マタギから聞いた話(27)-ケボカイの儀式
- マタギから聞いた話(28)-クライドリの儀式
- マタギから聞いた話(29)-なくした物
- マタギから聞いた話(30)-おかっぱ頭の女性
- マタギから聞いた話(31)-旅マタギ