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マタギから聞いた話(27)-ケボカイの儀式

マタギの語り部でもある
シカリのSさん親子から聞いた話を続けます。

マタギには、掟以外に、儀式もあります。

マタギ共通の巻物「山立根本巻」に従い、

「山は、山の神が支配する所。
山の恵みは、全て山神様からの授かり物。」として、
山神様を敬っているので、

クマを解体する時は、
ケボカイの儀式を行うそうです。

その方法は、
クマを頭が北を向くように、仰向けの状態で寝かせ、

イタヤカエデの小枝で、クマの胸と腹を上下にさすり、

シカリ(頭領)が塩をふって、
「大物千匹 小物千匹 アト千匹 叩カセ給エヤ
南無阿毘羅吽欠蘇波河」と3回唱えるそうです。

次に、下顎から毛皮の下の脂肪が、
なるべく皮に残らないように、
皮を剥いでいくそうです。 

この脂肪は、その場で食べる事もあるそうです。

脂肪は、まろやかで甘い味がするそうです。

次に、
剥いだ毛皮を頭と尻を逆にして、
クマの体の上にかぶせ、

イタヤカエデの小枝で、尻から頭へとさすり、

「南無サイホウ ジュガクブシ」と7回、
「コウメヨウ シンジ」と3回、
「コレヨリ後ノ世ニ生レテ 
ヨイ音ヲ聞ケ」と1回唱えるそうです。

その後、解体するそうです。

その時、高価で売れる胆嚢は、
シカリがナイロンのヒモで、
その口を縛り、後で乾燥させるそうです。

そして、肉は、村の祭りで使う分と、
これから皆で食べる分を差し引いて、
猟犬も入れて頭数で割るそうです。

次に、毛皮、背骨、内臓、骨、舌、心臓、性器、肺を、
猟に参加した者たちで、入札されるそうです。

後日、入札の金額に、
クマの胆嚢を売った金額を合計して、
参加者に分配されるそうです。

ちなみに、
水族館、動物園勤務時には、
死亡した時は、死因を調べるために、
マスクと手袋をして、病理解剖していました。

その時は、腹部から、切開しました。

ちなみに、死因を調べるために解剖するのですが、

それと共に、動物種により体の構造が違うので、
正常な体の構造を調べると共に、
せめて、採血できるようにしたいと思い、
血管の走行も調べました。

その結果、ペンギンなどの採血が、
出来るようになりました。

ちなみに、
鳥の肩関節に的確に刀を入れて、
関節を外すには、コツがいります。

ちなみに、
ペンギンのカビのアスペルギルス肺炎を調べた時は、
胸を切開した時、カビの胞子が舞い上がるのを見ました。

その時は、マスクしていて良かったと思いました。

ただ、自分が水族館や動物園に勤務していた時は、

小型動物は、死亡しましたが、
大型動物は、マンボウやカモシカ、ニホンジカ位で、

イルカ、スナメリ、サメ、ゾウ、キリン、ライオン、
トラ、チンパンジーなどの大型動物の麻酔治療は、
行いましたが、

これらの大型動物は、死亡しませんでした。

勤務していた時は、1人で解剖していたので、
大型動物だったら、
解剖するのは大変だったと思っていましたが、

現在は、現場獣医は増えて、

仙台港水族館(元松島水族館)は2人以上、
大森山動物園は、4人以上いるので、大丈夫です。

ただ、大森山動物園でキリンが死亡した時、
解剖の時は、2日以上かかったそうです。

水族館や動物園では、儀式とかは、無いのですが、

天然記念物のカモシカやイヌワシが死亡した時は、

文化財保護法の規定により、
個体状況と埋葬した写真を撮影し、
滅失届を県経由で国に提出していました。

マタギの儀式には、
他にも、秘密の儀式もあります。(続く)
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プロフィール

ムーミン

Author:ムーミン
生まれは、福岡、
育ちは、大阪、
現在、秋田市で、
動物病院を開院。

長年、
水族館、動物園で、
獣医師として勤務していました。

短期間ですが、
犬猫行政、
食品衛生業務も
しました。

その後、
長年、
東北、沖縄の
動物病院で勤務しました。

大阪に住んでいた時、
ジュニアリーダーをしていたので、
キャンプなどの指導などをしていました。

旅が好きで、バイクや車で
北海道や東北、関東などを、

野宿しながら、旅をしていました。

そして、
海外14カ国を、旅をして、

海外の複数の動物園や水族館で、
研修しました。

詳しくは、
別のブログ「あっちこっち雑記」で。

祖先は、醍醐源氏の末裔で、
福岡県八女市黒木の
猫尾城の城主を
していました。

先祖は、足利尊氏と戦い、
多々良浜の戦いでは、
敗戦しましたが、

筑後川の戦いなど、
最終的には勝利し、

3代将軍足利義満まで、九州を治め、

中国の「明」と、貿易をしていました。

詳しくは動物病院HPで。

学生時代、
生物学と歴史は好きでした。

試験の時は、
事前に、関連事項まで詳しく調べて、

特に歴史の時は、
現地調査までする事があったので、

筆記試験の時は

関連事項まで、詳細に書くと、

テスト用紙の回答欄のスペースでは、

ものすごく不足したので、

裏まで書いても不足した時には、

2枚目の白紙をもらい、
ぎりぎりまで書いていました。

そのため、
歴史や生物のテスト用紙が配られる時、
あらかじめ、
白紙が、2枚配られるようになりました。

だから、
高校の時、歴史の先生から、
歴史関係の進路を、
ものすごく強く勧められました。

でも、
生物の方が好きだったので、
獣医になりました。

先祖は笛が得意で、
後白河法皇、後鳥羽天皇に、
褒められた事があります。

自分も、子供の頃、
ピアノを習っていたので、
音楽が好きです。

水族館、動物園勤務時代、
野生動物は、
殺気を感じると、
逃げるので、
殺気を感じさせない為、
歌いながら、
治療していたので、
歌が得意になりました。

尚、色々な事を書いていますが、
話し言葉や細かい所などは、
意訳の場合もあります。

リンクはフリーです。

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