マタギから聞いた話(25)-掟(2)
- 2019/05/01
- 05:05
漁師さんと一緒に、
魚を捕りに行く仕事をしましたが、
言っている言葉は、
日本語のようにに聞こえますが、
何を言っているのか分からなかったので、
ジェスチャーで、会話しました。
その時は、
仙台出身の飼育係も、
漁師の言葉は、分かりにくいと言っていたので、
漁師さんの方言がひどいので、
会話が通じないと思いましたが、
後で、「沖言葉」を使っていたという事が分かりました。
「沖言葉」は聞きなれない言葉ですが、
漁師さんは、不漁を避けるため、
海上で「沖言葉」を使うそうです。
でも、会話が通じなかったのは、
自分が、大阪出身のため、
東北弁が分からないという事も、
関係していたかもしれません。
そして、
マタギも同じで、
マタギは、山に入ると、普通の言葉は使わず、
マタギ独特の「山言葉」で話すのが、掟だそうです。
例えば、「山言葉」で、
狩りの分担などを決める頭領の事は、「シカリ」、
クマの事は、「イタズ」、クマのいる洞穴の事は、「ケトバ」、
けもの道の事は、「ウジ」、
マタギでない人の事は、「セタギ」などと言うそうです。
マタギの掟は、まだ他にもあり、
どんな場合にも、
シカリ(頭領)の命に、背いてはならないそうです。
狩りの期間中は、
歌を歌ってはならないそうです。
ただし、合図の口笛は良いそうです。
女性の話、朝のワラ打ち、
狩り小屋での汁かけ飯は、禁止だそうです。
酒やタバコは、禁止ですが、
山神に供えるお神酒は別だそうです。
悪い無夢を見た時は朝食前に話し、
良い夢を見たときは朝食後の出がけに話すそうです。
山での禁を犯した者は、
その穢れをとるために、
火に塩を入れて清めたり、
冷水による水垢離が必要と言われています。
また、
狩り小屋では、入口から一番奥が、
神の座と言われているそうです。
そのため、
仮ごしらえの神棚を作り、
薪で、ご神体を削って祀ることもあるそうです。
あるいは、
「山神様」という張り紙をして、
神の座とすることもあるそうです。
神の座の下を、「上座」といって、
シカリ(リーダー)の席とするそうです。
また小屋に神棚を作らない時は、
近くの最も目立つ大木をご神体に見立てて、
その前に小さな仮の鳥居を作る事もあるそうです。
この仮のご神体に対しても、
毎朝出かけるときに頭を下げて拝むそうです。
朝、山でテンが前を横切ると、縁起が悪いそうです。
鷹が飛んでいる山は、
熊が住んでいるので縁起が良いと言われています。
ちなみに、シカリのSさん親子は、経験上から、
握り飯などの携行品は一度に食べず、
少量ずつ何度にでも分けて食べて、
残った飯つぶも、
一度には食べてしまわないそうです。
ちなみに、自分は、
あっちこっち雑記で書いたように、
食事を食べるのが早いです。
獲物を捕獲して、解体した時は、
その生血を暖かいうちに握り飯につけて食べたり、
そのまま飲んだりする事もあるそうです。
マタギの掟は、守らないといけない物で、
破ると、怖ろしい事が起きると言われています。(続く)
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