マタギから聞いた話(15)-肝試し
- 2019/03/10
- 05:05
シカリのSさん親子から聞いた話を続けます。
マタギのSさんが、子供の頃、
子供会主催の恒例だった、
真夏の夜の肝試しに参加したそうです。
大人たちから怖い話を聞いた後、
10分位で行ける山の祠に行き、
祠に置いてある印を取ってくる事になったそうです。
Sさんは、懐中電灯を持ち、目的地の祠に向かい、
山道を歩ていると、突然、突風が吹いて来たので、
手で目を覆うと、
わき腹をドンと何かに突かれ、思わず倒れました。
「何だ?」と思い、懐中電灯を向けると、
お地蔵様が、いました。
「お地蔵様に、ぶつかったのか?」と思い、
先を急ぎました。
そろそろ祠のある所に着くはずと思いましたが、
目的の祠はありませんでした。
そして、
速足で歩いていると、広場に出ました。
そして、その広場の先は、
延々と田んぼと畑が続いていました。
「この山道は、何度も通った事があるが、
広場は無かったはずだし、
田んぼや畑は、見た事が無い。
この場所は知らない。
ここは何処?」と不思議に思っていると、
広場の先に明かりのついた小さな民家がありました。
「この山に、家があるというのも、
聞いたことがない。
とりあえず、場所を聞こう。」と思い、
民家に行きました。
玄関で声を掛けましたが、
反応がありませんでした。
でも、窓から明かりが漏れていたので、
窓から中を覗くと、
年配の男性と女性が、座っていました。
Sさんは、大きな声で、窓を叩きながら、
「こんばんは!すみません。」と声を掛けましたが、
年配の男性と女性は、反応しませんでした。
Sさんは、反応がないので、
人形かと思いましたが、
呼吸するたびに体が動いていたので、
生きていると思ったそうです。
Sさんは、
以前、祖母から聞いた「迷い家」だと思ったそうです。
Sさんは、怖くなり「迷い家」から離れ、
元来た道を戻ろうとしましたが、
元来た道どころか、広場も無くなり、
どの方向に行っても、
延々と田んぼと畑の中が続いていました。
Sさんは、
知っている道を探しながら、歩きましたが、
知らない道は、ずーっと続いていました。
気が付くと、周囲が明るくなり、
夜が明けようとしていました。
一刻も早く家に戻りたかったのですが、
ものすごく疲れていたので、
少し休もうと座ると、
そのまま寝てしまったそうです。
そして…、
体をゆすられ、名前を呼ばれたので、
Sさんは、起きたそうです。
周囲を見渡すと、
目的地の祠の前に、いたそうです。
Sさんの周囲には、
親や沢山の大人たちがいて、
「今まで何処に行っていたんだ?」と聞いてきたそうです。
Sさんは、見てきたことを話しましたが、
大人たちは、「お前は、1週間前から行方不明となり、
祠の周囲や周辺を何度も探したが、
お前はいなかった。」と言ったそうです。
Sさんは、自分が1週間前もら行方不明だったと聞いて、
ビックリしたそうです。
周囲の人々は、Sさんが、神隠しにあったと噂したそうです。
その後、Sさんは、山の中の民家を探しましたが、
見つからなかったそうです。
Sさんは、
「やはり、あれは、「迷い家」だった。
「迷い家」に迷い込む事が、神隠しなのかも?
「迷い家」では、時間の流れが違うんだ。」と思ったそうです。(続く)
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