マタギから聞いた話(17)-山奥の巨大な石の建築物
- 2019/03/23
- 05:05
シカリのSさん親子から聞いた話を続けます。
「迷い家」は、新聞に載ったことがあります。
ある時、岐阜県白川村の笈ヶ岳で、
マタギのAさんが、クマを追ったそうです。
もう少しというところで逃げられ、
気が付くと、かなり山深くまで入り込み、
何十年も山に入っているので、
ほとんどの山の事は、知っているつもりでいたが、
来たことがない所まで来ていました。
そして、彷徨っていると、
突然、目の前に巨大な石の建築物が現れたそうです。
建築物は、5層の構造で、3階までは螺旋階段があり、
沢山の仏像が安置してあったそうです。
そして、その後、迷いましたが、
何とか、里まで戻ったそうです。
マタギのAさんは、里の人に山奥で見た事を話すと、
笈ヶ岳の山奥に、
誰も知らない巨大な石の建築物が、
あるという事が、話題となりました。
その時の、
1894年発行の「岐阜日日新聞」によると、
「天然石造希代の塔 発見」との見出しで、
「飛騨国大野郡白川村字加順良の
人家を距ること三里余の深山に一基の石造塔あり。
全体の高さ約21mにして、円形にて五層となり。
各層とも外面に何か彫刻しあるが如く見ゆれども、
青苔一面に覆ひ居りて其何たるを見分くるに由なく、
下層には5個、2階には4個、3階に4個、
4階、5階に各3個づつの窓あり。
3階までは内部昇り得られ、3階の内面には仏像彫刻あり。
4階、5階は昇り難し。
下層より3層までは、左り巻きの恰も縄の如き欄干様のものあり。
而して此の塔の希代なると云うは、
数個の岩石を累々積み重ねたる物にあらずして、
全体一個の黒い自然石より成る。
塔の四面は、
約100m四方の大巌石にて、
其の巌が基礎と成りて、
突起せる部分が右の塔なり。
また塔の傍らに石造の築山様のものありて、
その頂上より冷水噴出す。
その他塔を離るる一丁余の所に数個の巌穴あり。
入口は、約8m、高さ約3m。
塔の周囲の約300mは、樹木一本も生え居らず。
因に記すこの塔は、
本年の春同地の猟夫が狩猟の為め、
山深く跋渉歩く際に不図発見したるものにて
山間僻地の事とて何人の建設せしものなるか?
又岩窟は如何なるものなるか?を研究する好古家も無く、
唯不思議な塔と言ひ伝え居るのみなりと云へり。」と書いてあります。
その後、
マタギのAさんも含めたくさんの人、
そして、
NHKも番組の企画としても、
巨大な石の建築物を捜索しましたが、
見つからなかったそうです。
ちなみに、
今も探している人がいるそうです。
しかし、
最近、岐阜県白川村に住むGさんが、
山奥に入り込んだ時、
立派な建物に遭遇したそうです。
こんな山奥になぜあるんだろうと不思議に思い、
中へ入ってみると、
広間には荘厳な仏像が、
6体安置されていたそうです。
Gさんは、しばらくそこで休憩をしてから、
帰ったそうです。
その後、
Gさんは、その場所に行こうとしましたが、
行くことは出来なかったそうです。
「迷い家」は、一生のうち、
一度しか訪れることは出来ないと言われています。(続く)
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