マタギから聞いた話(5)-サカブ
- 2019/01/31
- 05:05
マタギの語り部でもあるので、話がうまく、
また、
自分が根掘り葉掘り聞いたので、
自分の経験談だけではなく、
知り合いのマタギなどから聞いた、
沢山の話をしてくれました。
秋田のマタギの専門用語で、
「サカブ」という言葉があります。
「サカブ」とは、叫ぶの方言ですが、
マタギたちがいう「サカブ」とは
山の神の呼び声を指すそうです。
山の神の「サカブ」を聞いた事がある
マタギもいるそうです。
マタギのWさんもその声を聞いた一人です。
「今までに2回聞いたことがあり、
山の神の声は、細く堅い声で、
遠い遠い処で響く鉦の音に似ている。
声を聞くと、頭を強打して気が遠くなった時のような、
耳鳴りのような、どちらかといえば、
振動、あるいはテレパシーのようなもの。」という事です。
山の神の「サカブ」は、だいたい吉祥で、
誰でも聞こえるのではなく、シカリ(頭領)、
もしくは、腕の立つマタギにしか聞こえないそうです。
東から聞こえる「サカブ」が最も良く、
その方向に進むと必ず大猟になるそうです。
ある時、秋田の大平山の森で、
マタギのWさんが、「サカブ」を聞いたそうです。
そのため、「サカブ」の聞こえる方に行くと、
今までに見たことがないような巨熊がいました。
Wさんは、
捕らえてみると約2mを超える
ツキノワグマとしては規格外の大物だったそうです。
ちなみに、
「サカブ」は、猟をしているマタギだけでなく、
猟の成果があった時には、
留守を待つ村の者たちにも、
聞こえる事があるそうです。
その時も、Wさんを待っていた家族に、
「サカブ」が聞こえたので、
家族は、いち早く迎える準備をしたそうです。(続く)
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