マタギから聞いた話(1)
- 2019/01/01
- 05:05
古い方法を用いる狩猟者集団で、
クマ、ニホンザル、ウサギ、
カモシカ(現在は天然記念物なので、狩猟不可)などを、
獲物としています。
ちなみに、
カモシカ密度が一番高い県は、
秋田と言われています。
カモシカの親は警戒心が強いので、
人を見ると遠巻きにして見るのですが、
幼獣は人に近づく事があるので、
時々、カモシカの幼獣を、
親と、はぐれたみたいだと言って、
動物園に、連れて来る人がいました。
でも、
野外で、カモシカの幼獣を見かけた時は、
親が近くにいるので、
幼獣をそのままにして、静かに離れて下さい。
でないと、親は心配します。
簡単に言えば、誘拐となります。
でも、
保護してしまった時は、元に戻せないので、
仕方なく、人工保育したのですが、
人に慣れて、ミルクが欲しいと言って、
人の体を突きながらついてくるので、
閉園後、カモシカと散歩していました。
マタギは、古くは、東北地方の言葉で、
「猟師」を意味する「ヤマダチ(山立)」と言ったそうです。
マタギの語源は、詳しくは不明ですが、
山々をひとまたぎに越えてゆくという意味の「マタギ」や
木の皮を剥いで生活する人という意味の
「マタハギ」から来ていると言う説もありますが、
アイヌ語の「冬の人、狩猟」を意味する
「マタンギ、マタンギトノ」が、
なまったものだという説が有力です。
ただし、マタギたちは、憎くもない動物を殺すためには
鬼のような心になって、一瞬で相手を殺す。
そのため、
動物を殺すたびに、鬼になる。
だから、マタギを字で書くと、
「叉鬼(又鬼)」だと言う人もいます。
ちなみに、
熊の胆のうは「熊胆(熊の胆)」といって、
漢方薬の原料になり、とても重宝され、
同量の金と等しい値打ちがあったと言われていました。
苦みが強いのですが、
古代中国より、
「五臓(肝臓,心臓,脾臓,肺臓,腎臓)のバランスを整え、
虫を殺し、腫瘍や治りにくい化膿巣を治す。」と言われ、
胃腸薬や利胆作用、鎮静薬など、
消化器系全般の薬として用いられるそうです。
冬眠明けのクマの胆嚢は肥大して、
高額で取引されるため、
冬眠明けのクマは価値が高く、
以前は、春クマ狩りは、
マタギ達によって伝統的におこなわれていました。
ただし、現在は、
狩猟期間は、法律で決められていて、
11月15日ー翌年の2月15日だそうです。
ちなみに、
猟期が冬に定められているのは、
冬は木から葉が落ち、草が枯れ、山野の見通しが良くなり、
農閑期で里山で作業をする農林業者が減るので、
誤射の危険性が低くなるという事が主な理由で、
付随して、
鳥獣の大部分繁殖期が春夏という事です。
秋田の阿仁と言えば、
熊猟師の「マタギ(叉鬼)(𪻆)」の里として有名です。
1990年、
阿仁の町おこしの一環で、
熊牧場(現在のくまくま園)をつくる事になりました。
そのため、
クマに慣れているマタギが、
クマの飼育管理する事になりました。
ちなみに、
2012年にクマの獣害事件が起きたのは、
秋田八幡平クマ牧場で、
阿仁の熊牧場とは違います。
一人前のマタギになるまで、
クマの血を飲んだり、内臓はもちろん、
脳みそも食べてクマの事を知るそうです。
自らの気配を消し、
「自分がクマなら、どの沢を歩くか、
どのえさ場を目指すか?」をクマの気持ちになって、
何時間も歩き続けるそうです。
当然ですが、個体差があり、
観念したように目を潤ませるクマもいれば、
挑むような目のクマもいるそうです。
逃がした時は、「次は、勝負だぞ!」と約束して別れるそうです。
苦しませず一発で仕留めるため、
10m以内で勝負するそうです。
撃つ直前、
「南無阿弥陀仏。悪いけど戴くよ。」と念を唱えるそうです。
しかし、マタギは、
クマを狩猟するのは、慣れていますが、
飼育管理は別です。
そのため、
「マタギ(叉鬼)(猟師)」の「シカリ(頭領、スカリ)」の
Sさん親子が、クマの飼育管理についての研修の為、
自分が勤務している大森山動物園に来ました。(続く)
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