不死身の分隊長-『舩坂弘』(4)
- 2018/12/16
- 05:05
「負けてたまるか!俺の根性をみせてやる!
味方の陣地に行く!」と、
近くにあった日章旗で、
足を包帯代わりに縛り、足が使えないので、
手で這って北西にある洞窟の陣地に行きました。
着いた時には、
死体が這ってきたと評判でしたが、
翌日には、左足を引き摺りながらでも歩けるまで、
回復したそうです。
『舩坂弘』さんは、
その後も何度となく瀕死の重傷を負いましたが、
不思議と翌日には、回復の兆しがあったそうです。
『舩坂弘』さんは、韓国映画「超能力者」の『ギュナム』、
日本映画「モンスターズ」の『田中終一』のように、
傷がすぐ治る体質らしく、
後日、その事について聞かれると、
『舩坂弘』さんは、「生まれつき、
傷が治りやすい体質です。」と笑って答えたそうです。
しかし、食料も水もない状況で、
その後も戦っていましたが、
米軍の爆撃、砲弾などの攻撃がすごく、
重体、重傷兵が増え、
洞窟の陣地は、自決の手榴弾を求める重傷者の呻き声で、
生き地獄の様相でした。
『舩坂弘』さんも、腹部を貫通する銃創を負いました。
洞窟の陣地は、
非衛生的な状態だったので、
腹部の傷が化膿し、ウジが湧きました。
『舩坂弘』さんは、衰弱し、
極度の栄養失調と失血で、両目が、かすんできました。
そして、傷口にいるウジを見て、
このまま苦しみながら死ぬより、自決しようと思ったそうです。
ちなみに、
ウジで傷を治すというマゴットセラピーがありますが、
後日詳しく話します。
そして、『舩坂弘』さんは、
【若年ニテ死スハ、考ノ道立タズ遺憾ナリ。
幸イ靖国ノ御社ニ参リ、御両親ノ大恩ニ報ユ、
今ヤ国家危急存亡ノ秋ニ、
皇天皇土ニ敵ヲ近ズケマイト奮戦セルモ、
既ニ満身創痍ナリ、天命ヲ待タズ、
敵ヲ目前ニ置キ戦死スルハ、切歯扼腕ノ境地ナレド、
スデニ必殺数百ノ敵ヲ斃ス、我満足ナリ。
七度生レ国難ヲ救ハント念願ス。
今従容ト自決ス、思ヒ残スコトナシ。
意訳:ここでで死ぬので、
日本での親孝行が出来なくなるので、残念です。
死んだら、靖国に行ってご両親の大恩に報います。
日本本土に敵を行かせないために、
奮戦したのですが、すでに満身創痍となり力尽きました。
敵を目前にして、自決するのは、残念ですが、
すでに数多くの敵を倒したので、満足しています。
再び、生まれ変わっても、日本のために頑張ります。
自分が出来る範囲で、
やるべき事は全てやったので、
思い残すことはありません。】と遺書を書きました。
そして、『舩坂弘』さんは、
自決するため、手榴弾の安全装置を外し、
自爆しようとしましたが、
不発に終わり、爆発しませんでした。
その時、『舩坂弘』さんは、
「何故、死ねないのか?何故、死なせて貰えないのか?」と、
死ねない事への絶望感を味わい、
何時間も茫然自失の状態となりました。
その最中にも、
絶えず米軍の爆撃、砲弾の音と振動が、
ありました。
洞窟の陣地には、
多数の兵士の傷の痛みに呻く声が、
満ちていました。
そして、『舩坂弘』さんは、
「どうせ死ぬなら、
その前に、せめて敵将に一矢報いる。」と考え、
米軍司令部への単身での斬り込みを決意しました。
そして、消毒のため、
洞窟に残っていた火薬を、
ウジのわいた腹部の貫通射創に詰め込みました。
そして、そこに火をつけました。
すると、傷口の両側から炎が噴き出したそうです。
その時、あまりの激痛に意識を失い、
半日ほど生死の間をさまよったそうです。
そして、『舩坂弘』さんは、
意識を取り戻した後、体に手榴弾6発をくくりつけ、
拳銃1丁を持って、洞窟を這い出ました。(続く)
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