日本を守るために命をかけて戦った人々(13)-戦争を避けるための示唆(1)
- 2018/12/11
- 05:05
認知社会心理学者『ムザファー・シェリフ』を
中心とする研究グループが行った
「ロバーズ・ケーブ実験」が、
国の関係に通じる重要な示唆を、
もたらしてくれます。
「ロバーズ・ケーブ実験」とは、
1954年、オクラホマ州内の
ロバーズ・ケーブ州立公園で行われた
サマーキャンプにおいて約3週間行われた観察研究です。
対象となったのは、
プロテスタント系の白人中流階級の家庭の子どもで、
成績は中程度、問題行動の履歴なしなどの条件にあてはまる所から、
抽出されたお互いに面識のない約11歳の男児22人で、
実験は約1週間ごとの3つのステージから構成されました。
第1ステージは、
11人ずつの2グループに分け、
それぞれ別の場所で、
お互いのグループの存在を知らないまま活動し、
初対面の子ども同士が集められた場合に、
相互の関係性がどのように作られていくかを、
認知社会心理学者『ムザファー・シェリフ』は、
キャンプ場の雑役夫を装って、
各グループ内で観察しました。
最初の頃は、
お互いに探り合いながら作業していましたが、
しばらくすると、
張り切って仕切るタイプの数名が先頭に立って、
周辺を探索したり、ゲームに興じたりして、
他のメンバーがそれについていくという状況でした。
その後、
仕切るタイプの子ども同士の間で意見の相違が顕在化し、
彼らに対するフォロワーの評価も徐々に固まってきて、
キャンプの半ば頃には、誰がリーダーかわかるようになりました。
こうしたリーダー、それ以外の仕切るタイプの子ども、
フォロワーといった役割の違いは、
キャンプ中の様々な活動に反映されていき、
遊びや共同作業がよりスムーズになりました。
その後、危険な遊びを競い合ってしている時、
怪我をしても泣かずに黙っていた子どもが男らしいと評価され、
「泣き言を言わない強さ」がそのグループの規範となり、
独自の規範を設けるようになりました。
その後、
別のグループの声を聞きつけ、
別の集団がいる事に気が付くと、
別に害を加えていないのに、敵意を持ち、
全員が白人だったのに、
相手グループを「黒んぼのキャンプ客」と呼んだりして、
お互いを人種差別的な言葉で罵倒しあいました。
その時のアンケートでは、
お互いのグループが、
自分たちのグループの方が、
強くて足も速くて優れていると答えました。
そして、グループ内の結束を高めるため、
『ラトラーズ』と『イーグルス』と
それぞれがグループ名を決め、
グループの旗やTシャツを作り、
一致団結の機運が高まっていきました。
しゃべり方も、それぞれのグループで、
特徴のあるしゃべり方で、話すようになりました。
この事から、
【複数の集団が存在すると、
特に原因がなくても、
集団間に敵意が発生する。】ということが、
分かります。
だから、2つ以上の国があれば、
国際問題は起きるのです。
次の第2ステージでは、
魅力的な賞品を用意し、
野球や綱引きなどの勝敗がつくゲームで、
勝ったグループが、
賞品を獲得できる状況を設定しました。
対戦初日の野球と綱引きで勝利した『ラトラーズ』に対して、
『イーグルス』はそのくやしさから、
グランドに立てていた彼らの旗を燃やしました。
翌朝になりその事実を知った『ラトラーズ』は激怒し、
『イーグルス』メンバーとの殴り合いへと発展しました。
そして、2日目の対戦では、『イーグルス』が勝ちました。
『ラトラーズ』は、『イーグルス』に夜襲をかけ、
相手のズボンを持ち去り、
次の日には落書きしたズボンを旗代わりにして、
挑発しながら会場へと現れ、
罵声を浴びせかけ、険悪な雰囲気でした。
次の第3ステージでは、
関係が悪化した集団間の対立を、
解消することを目的としました。
まずは、仲直りのため、一緒に映画を見せたり、
食事会を開き、接触する機会を増やしましたが、
最後には、食べ物を投げ合うなど大乱闘となりました。(続く)
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