糞尿の話(15)-糞便利用(2)
- 2018/07/31
- 05:05
人や動物の糞便が、
「人中黄」など、薬の原料として、
使用される事があります。
中国の本草書「新修本草」や「本草綱目」、
日本の「本草和名」、「和名抄」、「多識編」には、
便を、蛇に咬まれた時や痘瘡(天然痘)、
鼻血、子宮脱などに用いると書かれています。
漢方の「人中黄」は、
解熱や解毒作用があるとされ、
その製造方法は、
人の便と甘草の粉末を混ぜた物を竹の筒に詰めて、
地中に埋め、
夏に取り出して天日乾燥させ粉にして飲むそうです。
「人中黄」を原材料にした漢方は、複数あるそうです。
韓国では、便は重要視されていて、
古代韓国の新羅の『智証王』の皇后は、
便の大きさで選ばれたそうです。
韓国の李氏朝鮮時代の医学書「東医宝鑑」では、
「肉や毒キノコ食べて中毒になった時、
人糞汁を飲ませる。」と書かれています。
韓国では、1960年代まで、
骨折、打撲、腰痛などに対する消炎鎮痛や
てんかんの治療薬として、
人糞を使った薬用酒「トンスル」が、
愛飲されていたそうです。
作製方法は、汲み取り式便所に、
竹筒に小さな穴を開けた竹を差込み約4ヶ月後待つと、
竹筒の中に清い液が溜まるので、
それを「醸造酒マッコリ」と混ぜて、熟成させるそうです。
急ぎの場合は、
子供の大便に水を混ぜ、丸1日発酵させ、
炊いた白米と酵母を混ぜて酒にするそうです。
民間療法をまとめた「朝鮮風俗集 全」には、
「間欠的に発熱し、寒気、震えの時、
人糞を黒飴に包み、
3日間夜霧にさらした丸薬を飲む。」、
「歯痛の時、人糞を焼いて歯に詰める。」、
「てんかんの時、
人糞をゴマ油に混ぜ沸騰させたものを飲ませると全治する。」など、
怪しい糞便の活用方法が沢山書いてあります。
日本でも、
江戸時代の医学書「用薬須知」には、
人糞に甘草の粉末を混ぜたものは、
解熱や解毒作用があると書かれています。
戦国時代、
日本では馬の糞に薬効があると信じられていました。
馬糞に止血効果があると信じ、塗ったり、飲むことによって、
銃創に効くとされ、『武田信玄』もそれを信じていました。
そして、戦場で受けた刀傷には、
焼酎があればそれを振りかけていましたが、
無い場合は、小便をかけたそうです。
傷の痛みがひどい時は、
温めた人の小便を飲む事もあったそうです。
日本の地方の民間療法でも、
人の便は、使われています。
岩手県では、
歯痛の時、便器の内側に、
こびりついているカスを削り取って、
虫歯の穴に詰めたそうです。
静岡県では、耳だれの時、
便器の縁の汁をつけるそうです。
秋田県阿仁のマタギに聞いたのですが、
秋田県阿仁の民間療法では、
1965年頃まで、
便所の糞の溜まりに笹竹を刺しておくと、
竹の節と節の間に液体が溜まりますが、
その液体を、食あたりのときに飲んでいたそうです。
そして、
子供のてんかんには、
便所の蛆の殻を飲ませる事もあったそうです。
マタギから聞いた話は、
他にも、興味深い話が、
ものすごく沢山あるので、後日…。
ちなみに、便を食べるのは、
東洋だけと思う人もいますが、
イギリスには、白魔術で使われる、
「魔女ケーキ」には、人の尿が混ぜられています。
これに関連する話は、後日、魔女裁判の話でします。
そして、
近年、西洋で、便の効用が認められました。(続く)
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