日露戦争(23)-正露丸(3)
- 2017/06/10
- 05:05
クレオソートは、2種類あります。
まずは、
ブナやマツなどの原木を乾留して得られる
木タールを精製した淡黄色透明の液体の
木クレオソート(日局クレオソート)は、
正露丸の主成分で、医薬品となります。
そして、木クレオソートとは、
製法・成分の異なる
クレオソート油(石炭クレオソート、
工業用クレオソート)があり、
これは、
石炭を乾留する際に副生成物として得られる
コールタールを蒸留した黒褐色の液体で、
防腐剤として利用され、
日本工業規格で規定されています。
木クレオソートとクレオソート油は、
違う物ですが、
薬の専門家のお医者さんでさえ、
区別していない人もいて、
間違って本を書いているお医者さんもいる位、
ややこしいものです。
スポンサーから自立した、
自由で信頼できるメディアで、
以前は、自分も時々読んでいた、
真実を報道している雑誌「週刊金曜日」連載の
商品の安全性に関するコラム「買ってはいけない」で、
「枕木や電柱に使われる防腐剤を、
医薬品に用いるのか」と
ホスメック・クリニック院長『三好基晴』医学博士は、
その方面の専門家ですが、
木クレオソートとクレオソート油を混同したまま、
工業用クレオソート油のもつ毒性について、
正露丸に対する中傷を行ったそうです。
これに対して、
正露丸メーカーの大幸薬品は、
正露丸に使われる木クレオソートと
防腐剤などに使われる工業用クレオソートが、
根本的に違うことを示し、
内容の訂正と本の回収を求める事態となったそうです。
この指摘に対して、
「週刊金曜日」には、
木クレオソートと工業用クレオソートは、
違うものでしたと、
素直に間違いを認め、訂正記事が掲載されました。
ちなみに、
自分が、大学院の微生物教室と伝染病教室で、
微生物について研究していた時、
いい加減な事が書いてあると思われる医学系の本があったので、
指導してもらっていた先生に質問した所、
「獣医師を含め医学系の人が、
お金をもらって、
医学系の本を書くという事は、
その人が集めれるだけの資料を集め、分析し、
あらゆる角度から検証し、一文字一文字を、
熟考した上で、書いてあるので、いい加減な事は、
書いていない。
必ず、ためになる事が書いてあるので、
端から端まで読む事。」と教えてもらいました。
沖縄の勤務した動物病院の院長も似た事を、
言ってました。
だから、
本を書いて、売る時には、
ものすごく調べてから書くものかと思っていました。
しかし、
ホスメック・クリニック院長『三好基晴』は、
間違いに納得せず、
「木クレオソートだから、安全とは言えない。
植物性だからといって、安全とは言えない。
基本、クレオソートは劇薬である。
化学混合物としてのクレオソートと
正露丸に含まれるグアヤコールは、
劇薬指定されている。
木クレオソートには、
フェノールが含まれているが、
フェノールやグアヤコールは、
皮膚に障害を与える毒性が、
知られているので、やはり正露丸は危険。」と
批判を繰り返しました。
これらの主張に対して、
正露丸を販売する大幸薬品では、
「正露丸の主成分の木クレオソートは、
一般用医薬品の胃腸薬承認基準で、
その有効性と安全性について国が承認した薬剤です。
木クレオソートには、
主要薬効成分の約10%のフェノールが含まれています。
確かに、フェノールは、
高濃度では、タンパク質を変性による腐食性があり、
長時間、皮膚や目に接触すると
障害をおこす恐れがあります。
そのため、
正露丸錠は粘膜に付着しにくいように、
細粒化したり、糖衣錠となっているそうです。
そして、
内服された時のフェノールの安全性に関しては、
常用量の正露丸を服用した際、
健常人で中毒症状が出る事はないそうです。
また、
フェノールの催奇形性、変異原性、
発がん性が認められないことも報告されています。
ちなみに、
フェノールは生活環境中に存在して、
たばこの煙、燻製の肉、魚、
そして、飲料水にも、
フェノールは含まれています。
また、健康なヒトの血中に、
摂取した蛋白質の腸内細菌の代謝により生じたと考えられる
フェノールが、常時存在しているそうです。
正露丸が危険と言う話に、
影響を受けたお医者さんたちは、
「正露丸の作用は、神経毒で、
腸の神経を麻痺させて、
腸の動きを止めているが、
細菌性やウイルスなどの感染性腸炎の下痢は、
原因となる細菌やウイルスを排泄するための下痢だから、
下痢を止めてはいけない。
正露丸は、
腸の動きを止めて、
下痢をさせないようにしているが、
これは、病気を長引かせる。」と言っています。
それに対しては、正露丸のメーカー各社は、
木クレオソートは、
一般用医薬品として使用する場合の服用量では、
殺菌作用よりむしろ腸内の過剰な水分分泌を抑制し、
大腸の過剰な運動を正常化させることが分かっている。
と反論しています。
ちなみに、
正露丸の説明書によると、
消化管運動を止めないと書いてあります。
当たり前のことかもしれませんが、
薬の説明書は、よく読んだ方が、良いと思います。(続く)
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