寄生虫の野望(5)-トキソプラズマ(2)

スウェーデンのカロリンスカ研究所感染症学センターの
Antonio Barragan博士たちが、
マウストキソプラズマの寄生場所を調べた結果、
トキソプラズマを殺すはずの樹状細胞に、
寄生している事を発見しました。

白血球の1種の単球が、
組織内に移動するした後、
免疫力を高める樹状細胞に変化しますが、

トキソプラズマが、その樹状細胞の中で、
神経伝達物質であるGABA(ガンマ・アミノ酪酸)を作り、
同じ樹状細胞の外側にあるGABA受容体を刺激して、

それによって細胞に体内を移動させて、
脳にまで達すると考えました。

GABAの機能の乱れは、
統合失調症などの多くの精神障害の原因となり、

GABAの量が増えることは、
恐怖感や不安感の低下に関連しています。

トキソプラズマのような侵入者を排除するのが、
白血球の役目なのですが、

トキソプラズマは、
白血球で、体を移動するだけではなく、

恐怖心を鈍らせる神経伝達物質を作らせていたのでした。

スタンフォード大学の『ジョン・C・ブースロイド』教授は、
トキソプラズマは、最初に宿主細胞に付いて、
次に蓄積された外来タンパク質を細胞に注入し、
宿主細胞に入り込んでミトコンドリアを移動させたり、
細胞内のDNAに宿主遺伝子の発現を阻止したり、

さらに、トキソプラズマが繁殖しやすいように、
免疫反応を起こさないように、
宿主タンパク質を作り変える事を発見しました。

2009年、英国の研究者が、
トキソプラズマが、性的興奮、やる気などの
快楽物質ともいわれるドーパミンの前駆物質の
レボドパを作る2つの遺伝子を持っている事を発見しました。

2011年、スタンフォード大学で、
トキソプラズマに感染したネズミが、
ネコのニオイに性的に興奮して引きつけられる、
という事を発表しました。

ネコのニオイを嗅ぐ際の脳の反応を観察したところ、
脳の防衛と生殖を支配する部位が、
並行していますが、

トキソプラズマ感染したネズミの神経作用が、
防衛から生殖に切り替わり、

危険を感じるネコの匂いを、

雌のネズミのニオイと勘違いするそうです。

その上、トキソプラズマは、
ネコの性行動に関する神経伝達物質の生成レベルを、
高めることも明らかになりました。

ちなみに、この物質の増加を止めると、
トキソプラズマに感染したネズミが、
ネコの香りにつられて、
近づくという行動が見られなくなるそうです。

また、
ネズミに、トキソプラズマを感染させたた後、
しばらくしてから駆除して、
トキソプラズマが、検知されなくなっても、
ネコの香りにすり寄っていく現象が見られたそうです。

すなわち、
トキソプラズマが、

ネズミを操り、
全く警戒心を示さないどころか、

ネコの尿の臭いを好むようになり、
むしろすり寄って行き、

終宿主であるネコに食べられるという事が、
はっきりしました。(続く)
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