これは?(13)-海のハエトリグサ?
- 2012/04/14
- 05:05

2010年4月20日夜、
メキシコ湾沖合80km、水深1522mで、
海底油田掘削作業中だった
トランスオーシャン社が管理する
石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」で、
技術的不手際から、
掘削中の海底油田から逆流してきた天然ガスが引火爆発し、
海底へ伸びる掘削パイプが折れて、
約78万キロリットルもの大量の原油が、
メキシコ湾へ流出し、
被害規模、数百億USドルと言われている事故がありました。
その後、封じ込め作業により油の流出は止まり、
9月に封鎖作業を完了したそうです。
米海洋大気局から、
石油流出事故による
メキシコ湾北部の深海への影響の調査の委託を受け、
世界中の深海魚を調査してきた
ノバサウスイースタン大学の魚類学者、『トレイシー・サットン』氏が、
2010年から、
水深1000m以上の深海に住む生物の調査を行ったそうです。
その調査中の2011年に、
発見された体長12.7cmの新種のアンコウで、
Lasiognathus dinema と命名されました。
『トレイシー・サットン』氏のチームは、
メキシコ湾内で、他にも約50種類の新種を発見したそうです。
「流出事故発生時、
湾内の深海にどんな生物が生息しているか、
十分なデータがありませんでした。
見つけた時、あまりに特徴的だったので、
すぐに新種だと、分かりました。
それどころか、本物の魚には見えず、
悪夢に出てくる物を見ているようでした。」と語っています。
鼻先から伸びる複数の突起物は、歯だそうです。
上顎が、上向きに大きく広がり、
唇はめくれあがって歯が水中に突き出しているそうです。
同じ仲間の
Lasiognathus amphirhamphusも、
上唇がめくれ上がっています。
大西洋の1200m以上の深海に棲息していて、
雌の体長は、約16cmだそうです。

同じ仲間の
Lasiognathus saccostomaも、
上唇がめくれ上がっています。

同じ仲間の
Lasiognathus beebeiも、
上唇がめくれ上がっています。

『サットン』氏は、
「生きている姿を見た者はいないので、
捕食の様子は、知識に基づく推測に過ぎないが、
口の両側面をつなぐ腱がある構造から、
食虫植物のハエトリグサのように、
さかさまにした口を閉じて捕食するのでは?
頭から突き出た突起物は、疑似餌と思われるが、
実際に捕食している所を見たい。」と言っています。

ハエトリグサ
また、『サットン』氏によると、
「Lasiognathus属は、
サンプルは25体しか見つかっていません。
つまり、1体でも見つかることは、
非常にまれなのです。」 との事。
そのため、写真が少ないそうです。(続く)
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