失明したラットの回復方法

横浜市立大の高橋琢哉教授らは、
ラットが視覚を失うと、ひげの機能が
向上する事を発表した。

視覚を失うと、
外界の情報を得るのに重要なひげに関連する
脳内の情報伝達が盛んになる事を、
分子レベルで突き止めました。

ラットのひげは人間で言うと、
手で外界の情報を調べるのに近い機能を持ちます。



視覚を失っても、残された感覚の機能が向上して
障害を補うメカニズムが分かったことで、
感覚機能を失った人のリハビリ効果を高める薬の開発に
つながることなどが期待されます。

 高橋教授らが調べたのは、
ひげからの入力を受ける大脳の「バレル皮質」。

視覚を失ったラットは、脳内の情報を伝える神経伝達物質の
セロトニンが正常なラットよりも増えたほか、
信号をやりとりするシナプスの中にある受容体の数も2倍になり、
触覚の機能が鋭敏になった。

 ひげの一本一本に、バレル皮質の細かな領域が
はっきりと対応していることも判明したそうです。

その結果、対象物のわずかな長さや大きさの差を
見極める能力が上がったとみられています。



そして、失明の画期的な治療法が、
東北大先進医工学研究機構の富田浩史准教授(眼科学)と
菅野江里子助教(分子生物学)らの研究グループにより、
米科学誌プロスワンで発表された。



緑藻の遺伝子を失明したラットの網膜に注入し、
視力を回復させる実験に成功したとのこと。

視野が狭まったり、視力が急に落ちる「網膜色素変性症」や
「加齢黄斑(かれいおうはん)変性症」の治療に応用できるという。

網膜色素変性症は、原因不明の病気で、
光を感知する網膜の中の色素 上皮に異常な色素が沈着し、
光の明るさを感じとる杆体(かんたい)細胞が障害を受ける病気で、
夜盲(やもう)、視野の 狭窄(きょうさく)とともに視力低下が進行します。

現在のところ、有効な治療法が見つかっていません。

研究グループは、光合成をし、光を認識し、
走光性や光驚動性を示す単細胞緑藻の一種
「クラミドモナス」に着目しました。


(学名 Chlamyomonas reinhardtii  
長さ約100分の1mm。等長の2本の鞭毛を持ち、
池、沼、水田の泥などに生息。)

この、「クラミドモナス」は葉緑体、ミトコンドリア、
核ゲノム全てで形質転換ができる唯一の真核生物で、
光合成をすることから「緑の酵母」とも呼ばれ、
増殖、遺伝解析等、実験上の取扱が
容易なためモデル細胞系として遺伝学、生化学、
生理学等多くの分野で研究に用いられています。

網膜の光受容器細胞の形成と光の認識の初期段階をつかさどる
チャネルロドプシン1(ChR1)と2(ChR2)の2種類のロドプシンは、
光受容器細胞に存在する色素で、
光を感知し、走行性や驚光性などの行動を制御しています。

その、「チャネルロドプシン2」遺伝子を取り出し、
その遺伝子をアデノウイルスに組み込み、
網膜色素変性症で失明したラットの硝子体に
注入する実験が行われました。

その結果、神経節細胞の30%近くの細胞が
光感受性細胞になったことを報告しています。

光によって神経細胞を活動させるたんぱく質を生成する性質が
この遺伝子にあり、
ラットの網膜細胞を傷つけて失明させた状態で、
遺伝子を注入し、6週間後に
縦じま模様が回転する小部屋に入れた結果、
模様の動きに従って
首を振る様子が見られたそうです。
また、色の濃淡の判別などの実験により
視力回復が実証されたそうです。

脳波検査でも視力回復が確認され、
注入後1年以上たっても効果は持続しているとのこと。

ただし、問題点もあるそうです。

チャネルロドプシンが、
元来、ヒトが持たない遺伝子なので、

チャネルロドプシン遺伝子から
作られるタンパク質が生体に及ぼす影響を
検討する必要があるとの事と、

チャネルロドプシンの光感受性が低い事と、

感受できる色は青から緑であり、
赤は感受できないとの事。


研究グループによると、国内では毎年約1万6千人が
難病の網膜色素変性症や加齢黄斑変性のほか、
糖尿病網膜症、緑内障などで失明しているそうです。

富田准教授らは人に近いサルを使った実験を進め、
この遺伝子を注入して視力を回復させる
治療法の確立を目指していく方針で、

ヒトの場合は局所麻酔をしたうえで、
注射器で網膜に遺伝子を注入する方法が考えられ、
富田准教授は「10〜15分程度で手術でき、
安全性の確認を進めて早期の実用化を目指したい」とのこと。

新しい内科治療が好きなので、
ドンドン新しい治療法が開発されて欲しいです。
スポンサーサイト

Comment

Leave A Comment