地球で1番最強の動物なので、
宇宙空間に行った動物について書きます。
その名前はクマムシ。
地球上で1番強いということで、
宇宙空間に直接曝されて初めて生き残った生物です。
2007年9月、欧州宇宙機関の衛生フォトンM3で、
クマムシを10日間真空の宇宙空間に曝しました。
その後、地球に戻ってから卵を産んだそうです。
また、太陽光も浴びたクマムシも少数生き残ったそうです。
クマムシは緩歩動物(かんぽどうぶつ)に分類される動物です。
4対8脚のずんぐりとした脚でゆっくり歩く姿から緩歩動物、
また形がクマに似ていることからクマムシ(英名はwater bears)と呼ばれています。

現在 92 属、750 種以上(うち海産のものは150種あまり)あまりが知られています。
体長は50μmから1.7mm。
全てのクマムシは泳げないくせに水棲で、
ごく身の回りに沢山生息しています。

その範囲は熱帯から北極、深海、高山、温泉、海洋、
地球上のほとんどありとあらゆる環境に、住んでいるのです。

陸上性の種の多くは苔類などの隙間におり、半ば水中的な環境で生活しています。
樹上や枝先のコケなどにもすんでいます。

寿命は1ヶ月から2年半。
堆積物中の有機物に富む液体や、動物や植物の体液を吸ったり、
他のクマムシを食べたりします。

乾燥しやすい環境のものは、乾燥時には後述のタン状態で耐え、
水分が得られたときのみ生活しています。
周囲が乾燥してくると体を縮めて樽状(タン)になり、
通常は体重の 85% を占める水分を、
乾燥状態では 3% まで減らすことができ、
代謝をほぼ止めて乾眠(かんみん)と呼ばれる
クリプトビオシスと呼ばれる休眠状態に入ります。

この状態のタンと呼ばれる乾眠個体は、
過酷な条件にさらされた後も、水を与えれば再び動き回ることができます。
ただしこれは乾眠できる種が乾眠している時に限ることであって、
全てのクマムシ類が常にこうした能力を持つわけではありません。
乾眠状態には瞬間的になれるわけではなく、
十数時間をかけてゆっくりと乾燥させなければ
あっけなく死んでしまいます。
乾燥状態になると、体内のグルコースを
トレハロースに作り変えて極限状態に備えます。
水分がトレハロースに置き換わっていくと、
体液のマクロな粘度は大きくなるがミクロな流動性は失われず、
生物の体組織を構成する炭水化合物が
構造を破壊されること無く組織の縮退を行い
細胞内の結合水だけを残して水和水や遊離水が
全て取り除かれると酸素の代謝も止まり、完全な休眠状態になります。
こうなると環境に対する絶大な抵抗力を持ちます。
絶対零度の -272 ℃ (報告によっては -253 ℃) から
151 ℃まで耐え抜くことができます。
3000気圧でほとんどのバクテリアと多細胞生物が死にますが、
75000気圧 = 水深 750km の水圧の高圧にさらしても
蘇生することが確かめられています。
ちなみに地球上で最も深いマリアナ海溝は水深 10km で、
その 75 倍の水圧に耐えられることになります
人間のX線の致死線量(半数の人が致死)は約 500 レントゲンですが、
1000 倍以上強い、57 万レントゲンに耐えます。
不思議なことに、X 線耐性はタン状態でなくてもかなり強いことが分かっています。
細胞構造を保存し乾物状態から生き返るために、
膜を保護するトレハロースとグリセロールを合成しているのがポイントみたいです。
昔読んだ本で、「博物館の苔の標本の中にいたクマムシの乾眠個体が、
120年後に水を与えられて蘇生した。」と書かれていて信じていましたが、
調べてみると、120年を経た標本にて
12日後に1匹だけ肢が震えるように伸び縮みしたことを
観察したものはあるものの、
サンプルがこの後に完全に生き返ったのかどうかは不明とのこと。
実際は、条件が良くても10年前のコケからクマムシを
蘇生させることが出来るくらいとのこと。
ただ、冷凍したり無酸素状態にしたりすると保存期間が延び、
極地研の実験では20年前の南極の氷からも復活しています。
クマムシは、5 億 3 千万年前のカンブリア紀の岩石から
最初の化石が見つかっています。
進化的には、節足動物が環形動物から分岐したあとで、
節足動物系統から有爪動物らと共に分岐したとされているようです。
カンブリア中期のバージェス頁岩の化石で見つかった
有爪動物がクマムシの祖先と考えられています。
ちなみに、福岡県筑紫郡那珂川町にある
「不思議博物館」の喫茶店で、
体長15cm位のクマムシケーキが、
1日1個の限定ですが、
ドリンクつきで1700円で購入できます。
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