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感染予防(2)-狂犬病(1)-歴史

狂犬病のもっとも古い記録は、古代メソポタミアのエシュヌンナ王国で制定された、紀元前1930年頃に発令されたエシュヌンナ法典で、「イヌが市民を咬み、咬まれた市民が、狂犬病で死亡した時、イヌの飼い主は、遺族に対し、40シェケルの銀を支払い、奴隷を咬んで奴隷が死んだ時は、奴隷の主人に対して、15シェケルの銀を支払う事。」と、記載されています。紀元前1900-1600年頃のメソポタミアの「犬の呪文」には、...

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感染予防(2)-狂犬病(2)-名前の由来

1936年、『レスリー・T・ウェブスター』と『アンナ・D・クロウ』が、マウス脳を使い、狂犬病ウイルスの培養に成功しました。1584年、イタリアの科学者『ジローラモ・フラカストロ』が、狂犬病は、犬に咬まれると感染し、凶暴になるので、ラテン語の「狂っている rabidus」から、「狂犬病 rabies」と名付けたそうです。ちなみに、狂犬病ウイルスは、ラブドウイルス科リッサウイルス属ですが、ラブドウイルスのラブドは、...

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感染予防(2)-ルイ・パスツール(7)-狂犬病(3)

人が、狂犬病に感染すると、脳炎を発症し、幻覚が見えたり、水、風、光、音などの刺激に、ものすごく過剰に反応し、筋肉が激しく痙攣し、水を見るだけで、怖がり、最終的には、呼吸麻痺になり、死亡します50年頃のローマの医学者『アウルス・コルネリウス・ケルスス』が、狂犬病を発症すると、水を飲むと強い痙攣が起きて、水を飲めなくなり、水を飲むことを恐れたので、「恐水病」と名付けました。ちなみに、自分が、アメリカに...

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感染予防(2)-狂犬病(4)-狂犬病爆弾-吸血鬼伝説

1546年、イタリアの科学者『Girolamo Fracastoro』は、狂犬病が唾液中に存在する種子によって、伝染すると仮説を立てました。1650年、リトアニアのロケット研究の先駆者、砲兵将軍『Kazimierz Siemienowicz』は、南東部の国境地帯は、タタールなどと、長い間、常に、戦争状態だったので、戦争を終結させようとして、狂犬病の犬の唾液を入れた砲弾を、色々な条件を変えて、発射していたそうですが、当時の技術では、うまく...

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感染予防(2)-狂犬病(5)-ルイ・パスツール(8)-獣医師『Pierre Victor Galtier』の活躍

獣医師『Pierre Victor Galtier』は、1846年に、フランスのロゼール県で、農民の子供として、生まれました。子供の頃は、勉強や規則が嫌いで、学校から、何度も逃げ出していましたが、祖母に預けられ、祖母から学業の大切さや面白さを教えられてから、改心し、学校へ行くようになり、勉強を一生懸命するようになったそうです。『Pierre Victor Galtier』の家は、貧しかったのですが、フランスのロゼール県では、貧しい学生に対...

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感染予防(2)-狂犬病(6)-ルイ・パスツール(9)-動物実験取扱注意

『ルイ・パスツール』らは、研究の結果、狂犬病ウイルスの毒性は、犬から猿へ接種すると、伝播のたびに減少し、その後、犬、ウサギ、またはモルモットに、再び接種しても、それは減弱したままでした。しかし、病原性は、ウサギからウサギへ、モルモットからモルモットへ接種すると、病原性は、増加しました。『ルイ・パスツール』らは、当初、狂犬病ワクチンを、サルで、作製しようとしていましたが、サルが暴れたりして、取り扱い...

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感染予防(2)-狂犬病(7)-ルイ・パスツール(10)-『Girard』に、初の狂犬病接種!ただし、承認前、厳重注意

『ルイ・パスツール』らが行った動物実験では、狂犬病の症状が、発症する前であれば、狂犬病のワクチン接種により、発症を防ぐ事が可能であることも、発見しました。1885年5月2日、パリに住む『Girard』が、狂犬病の犬に咬まれたので、病院に行きました。 担当した医師『Rigal』は、『Girard』が、狂犬病に感染したと診断し、狂犬病を研究している『ルイ・パスツール』に、意見を聞くことにしました。『Girard』は、意識はあ...

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感染予防(2)-狂犬病(8)-ルイ・パスツール(11)-狂犬病予防注射大成功!『Joseph Meister』

1885年、7月4日、『Joseph Meister』(9歳)は、フランス北東部アルザス地域圏で、『Théodore Vonné』の飼い犬に襲われ、手や足など、約14か所、咬まれました。地元の医師『Eugène Weber』は、『Joseph Meister』(9歳)の傷口を、石炭酸で、徹底的に洗浄消毒したそうです。そして、咬んだ犬を検査したところ、狂犬病という事が判明しました。そのため、『Joseph Meister』(9歳)は、時間が経過すると、神経異常を起こ...

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感染予防(2)-狂犬病(9)-ルイ・パスツール(12)-狂犬病予防注射成功の陰で…、獣医師『Pierre Victor Galtier』

1885年10月14日、『ルイ・パスツール』の故郷の近くの、ジュラ州ヴィレール・ファレーという町で、15歳の羊飼の少年『Jean-Baptiste Jupille』は、凶暴になった狂犬病の犬から、仲間の5人を助けるために、両手を、犬に、深く咬まれながらも、木靴で、立ち向かって、狂犬病の犬を撃退したそうです。その話を知った町長が、勇敢な 『Jean-Baptiste Jupille』に感動し、狂犬病を研究している『ルイ・パスツール』に、連絡...

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感染予防(2)-ルイ・パスツール(14)-『Joseph Meister』…その後

1940年、ナチス・ドイツによるフランス占領で、パスツール研究所が、接収されました。1940年6月24日、ナチス・ドイツは、パスツール研究所の地下聖堂にあった『ルイ・パスツール』の納骨室を聞けるように、守衛に命じましたが、守衛は、鍵を渡すことを拒み、銃で、自ら命を絶ったそうです。鍵を渡すことを拒んで自殺した守衛は、実は、50年以上前に『ルイ・パスツール』によって、世界で初めて、狂犬病の予防接種を受...

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感染予防(2)-狂犬病(11)-治療(1)

狂犬病の治療に関しては、現在まで、試行錯誤が続いています。50年頃のローマの医学者『アウルス・コルネリウス・ケルスス』が、狂犬病の治療方法を、咬傷部を焼くと書いてから、ヨーロッパでは、傷口を焼くことが、行われていました。中国の晋王朝の道教士『葛洪』は、300年頃に、狂犬病治療のために、咬んだ犬の脳組織を、咬み傷に塗ることを、推奨しています。ちなみに、『葛洪』は、南海郡太守『鮑靚』に師事し、その娘と...

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感染予防(2)-狂犬病(12)-治療(2)-ミルウォーキー・プロトコル(1)

2004年、15歳の女子高生『Jeanna Giese』が、ウィスコンシン州フォンデュラクの聖パトリック教会のミサに参加していた時、1匹のコウモリが教会の中に飛び込んで、窓の内側にぶつかって床に落ちました。動物が好きだった『Jeanna Giese』は、コウモリの羽の端をつかんで、外へ逃がそうとした時、コウモリに、左手の指を、咬まれて、出血しました。すぐに、傷口を、オキシドールで、消毒しました。傷は、大したことは無いと考...

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感染予防(2)-狂犬病(13)-治療(3)-ミルウォーキー・プロトコル(2)

狂犬病治療チームが調査していると、「麻酔薬のケタミンと精神障害モデル動物を作成するために、使用される毒性の強い「ジゾシルピン(MK-801)」という薬が、ラットの実験で、狂犬病ウイルスの阻止効果が、見られた。」という、パスツール研究所の『アンリ・チアン』の論文を見つけました。そして、狂犬病治療チームは、免疫系が抗体を分泌して、ウイルスを撃退するまで、ウイルスから、身体と脳を守るため昏睡状態にするとい...

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感染予防(2)-狂犬病(14)-治療(4)-ミルウォーキー・プロトコル(3)

『Jeanna Giease』は、目を開け、足が少し動き始め、6日後には、目を開けて、そして、口を、開けてれるようになりました。9日目には下肢の腱反射が出現し、その後、脳波の所見が改善しはじめ、瞳孔が光に反応するようになりました。12日目には、ベッドに座るようになりました。そして、徐々に回復し、昏睡状態から覚醒させたてから31日後には、ウイルスが見られなくなったので、集中治療室から一般病棟に移り、『Jeanna Giea...

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感染予防(2)-狂犬病(15)-治療(5)-ミルウォーキー・プロトコル(4)

2011年、アメリカのカリフォルニア州に、動物が大好きな少女『Precious Reynolds』(当時8歳)が、学校にいた野良猫が、元気がないので、様子を見ようとしたところ、猫に、左手の甲を、傷付けられたそうです。ちなみに、突然の事で、『Precious Reynolds』は、気が動転していたので、引っかかれたか、咬まれたかどうかは、覚えていないそうです。傷自体は、すぐに治ったのですが、その後、喉の痛みなどの症状が続くので、病院...

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狂犬病(20)-潜伏期間

もっとも致死率が高い感染症として、ギネス世界記録に記録されている、狂犬病ウイルスは、傷口から、神経細胞に入り、逆行性軸索輸送と言って、通常の神経伝達とは逆の流れで、末端神経から、脳に向かっていくそうです。そのため、脳から近い所を咬まれたら、短期間で、脳炎の症状が出ますが、脳から遠い所を咬まれたら、脳炎の症状が出るまで、15日から、1年以内とばらつきがありますが、60%は、1-3か月以内に症状が出る...

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狂犬病(21)-感染経路(1)

アメリカのアリゾナ州のトゥーソン医療センターで、新型コロナウイルス感染症患者の治療をしている、内科医『Matthew Heinz』は、新型コロナウイルスとインフルエンザの同時感染による重症化を、確認したそうです。イギリスの研究では、同時感染した患者は、新型コロナウイルスにだけに感染した患者に比べて、死亡するリスクが2倍で、集中治療室で治療を受ける割合が高く、人工呼吸器を必要な患者も多かったそうです。2021年...

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狂犬病(22)-感染経路(2)

アメリカ、フランス、タイ、インド、イランでは、死亡時に、狂犬病ではなく、髄膜脳炎、脳炎、クモ膜下出血など診断された、臓器提供者の角膜や腎臓や肝臓など移植された人が、移植されてから、約1カ月で、狂犬病を発症し、死亡したそうです。臓器提供者が、狂犬病に感染していた事は、移植された患者が、狂犬病を発症した後、臓器提供者を、再検査して、判明したそうです。ただし、イランの事例は、特殊で、1994年、テヘラン...

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プロフィール

ムーミン

Author:ムーミン
生まれは、福岡、
育ちは、大阪、
現在、秋田市で、
動物病院を開院。

長年、
水族館、動物園で、
獣医師として勤務していました。

短期間ですが、
犬猫行政、
食品衛生業務も
しました。

その後、
長年、
東北、沖縄の
動物病院で勤務しました。

大阪に住んでいた時、
ジュニアリーダーをしていたので、
キャンプなどの指導などをしていました。

旅が好きで、バイクや車で
北海道や東北、関東などを、

野宿しながら、放浪しました。

そして、
海外14カ国を、放浪し、

海外の複数の動物園や水族館で、
研修しました。

詳しくは、
別のブログ「あっちこっち雑記」で。

祖先は、醍醐源氏の末裔で、
福岡県八女市黒木の
猫尾城の城主を
していました。

先祖は、足利尊氏と戦い、
多々良浜の戦いでは、
敗戦しましたが、

筑後川の戦いなど、
最終的には勝利し、

3代将軍足利義満まで、九州を治め、

中国の「明」と、貿易をしていました。

詳しくは動物病院HPで。

学生時代、
生物学と歴史は好きでした。

試験の時は、
事前に、関連事項まで詳しく調べて、

特に歴史の時は、
現地調査までする事があったので、

筆記試験の時は

関連事項まで、詳細に書くと、

テスト用紙の回答欄のスペースでは、

ものすごく不足したので、

裏まで書いても不足した時には、

2枚目の白紙をもらい、
ぎりぎりまで書いていました。

そのため、
歴史や生物のテスト用紙が配られる時、
あらかじめ、
白紙が、2枚配られるようになりました。

先祖は笛が得意で、
後白河法皇、後鳥羽天皇に、
褒められた事があります。

自分も、子供の頃、
ピアノを習っていたので、
音楽が好きです。

水族館、動物園勤務時代、
野生動物は、
殺気を感じると、
逃げるので、
殺気を感じさせない為、
歌いながら、
治療していたので、
歌が得意になりました。

尚、色々な事を書いていますが、
話し言葉や細かい所などは、
意訳の場合もあります。

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