糸脈(3)
- 2018/12/31
- 05:05
『孫悟空』だそうです。
その昔、中国の帝が重い病気に罹り、
沢山の医師が治療を試みましたが、
治らなかったそうです。
藁をもつかむことで、
中国の帝の診察を請われた『孫悟空』でしたが、
身分の低いという理由で、
高貴な身分の帝には、直接会う事は出来ませんでした。
『孫悟空』は、帝の病気を治療したいと思い、
直接会わずに診察する方法を考えました。
そして、
寝殿近くで三本の金糸を宦官に渡して、
お側付きの方に、
糸を帝の左腕の寸、関、尺の脈所に縛り付け、
端の糸を渡してくれるよう頼んだそうです。
『孫悟空』は、
三本の糸の端を、
最初は、親指と人差し指、次に親指と中指、
そして、親指と薬指で、軽く引っ張りながら、
自分の呼吸と合わせつつ、脈の動きを調べたそうです。
脈を診た『孫悟空』は、
「陛下の左手の寸脈は早く、
関脈は緩やか、尺脈は非常に遅うございます。
私の診断した結果から申しますと、
心臓の動悸、沢量の汗、血尿や血便があるのでは、
ありませんか?」と聞いたそうです。
中で聞いていた帝は思わず、
「その通り、その通り。」と言ったそうです。
そして、『孫悟空』は、
大黄と峻下剤の巴豆に、
かまどの墨、馬の糞尿それに雨水などを混ぜた薬を、
処方した結果、帝は、見事に回復しました。
帝から、「肝心の妙薬は何か?」と聞かれた時、
『孫悟空』は、
馬の糞尿とは言えず、
「鎮咳や解毒時に用いる馬兜鈴(ウマノスズクサ)です。」と、
とっさに答えたそうです。
糞尿の話(15)-糞便利用で書いた通り、
漢方では、動物のの糞便が、薬の原料として、
使用される事があります。